【全文・主な署名者】世界の識者「辺野古ノー」 ストーン監督ら400人が声明


【全文・主な署名者】世界の識者「辺野古ノー」 ストーン監督ら400人が声明 辺野古の新基地建設予定地近くの海を視察するオリバー・ストーン氏(2013年8月撮影)
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 映画監督のオリバー・ストーン氏ら、世界の識者400人超が沖縄での米軍辺野古新基地建設を中止するよう求める声明全文(日本語訳)と、主な賛同者一覧は次の通りです。

国際声明 米国と日本は沖縄の軍事植民地支配をやめよ(日本語訳)

2024年1月

ジョー・バイデン大統領および米国市民へ

岸田文雄首相および日本国市民へ

10年前、言語学者のノーム・チョムスキー氏や元米陸軍大佐・元外交官のアン・ライト氏を含む103人の世界の学者、ジャーナリスト、芸術家、平和活動家が、沖縄本島北部の辺野古に、さらなる米海兵隊基地を建設することに反対する声明を発表した。しかし現在もなお、日米両政府は沖縄県民の大多数が反対しているにもかかわらず、この高価な埋め立てプロジェクトにこだわり続け、かけがえのない生態系を無謀にも破壊している。 残念ながら、埋め立て予定総面積の約4分の1を占める辺野古側の工事はほぼ完了している。そして今、北側の、より深く、貴重な生物多様性をもつ大浦湾の埋め立てに着手しようとしている。

辺野古への基地建設計画は1960年代から存在していた。そして1996年の日米合意(SACO合意)により、混雑する宜野湾市のど真ん中に危険な状態で位置する米海兵隊普天間航空基地の「代替施設」として復活した。それから四半世紀以上たった今でも、日米両政府は普天間基地によって占領されている土地を本来の所有者に返還しておらず、米国は新基地建設後も両方の基地の維持を目指しているとの報道さえある。

沖縄の自己決定権、民主主義、自治権を支持する私たち署名者は、第二次世界大戦以来、米日の事実上の軍事植民地とされている沖縄の、さらなる軍事化を拒否する沖縄の人々への支持を、ここに新たに表明する。

かつては独立した琉球王国であった沖縄は、戦国日本による3世紀にわたる支配の後、1879年に大日本帝国に強制併合された。琉球列島の人々は、欧米列強に植民地支配された世界中の多くの先住民族と同様に、強制的に日本に同化させられ、言語、名前、伝統、そして主権と自治を持つ民族としての尊厳を奪われた。 

アジア太平洋戦争末期、日本は沖縄を「捨て石」とし、「皇土」を守るために沖縄で持久戦を行い、島々の住民を総動員した。日米間の戦争で、沖縄県民は人口の4分の1以上、12万人以上が死亡した。アメリカは戦争の戦利品として島々を支配下に置き、80年近く経った今でも沖縄の陸・空・海を占領し、性暴力や殺人を含む甚大な人権侵害、航空機や車両の重大事故、PFAS水汚染などの環境破壊を引き起こしている。

2023年12月20日、福岡高裁那覇支部は沖縄県に対し、新基地の大浦湾側の埋め立てを可能にするのに必要な、「マヨネーズ状」の軟弱地盤に対処するための政府の工法変更を承認するよう命じた。この地盤強化は多大な費用と年月がかかることが予想されており、専門家によれば「不可能」と言われている。2018年と2022年の知事選で辺野古基地反対を掲げて当選した玉城デニー沖縄県知事は、12月25日に裁判所の命令を拒否し、12月27日に最高裁に上告した。

12月28日、日本政府は沖縄県に代わって、計画変更を承認した。1999年に改正された地方自治法に基づく「代執行」の異例であり初めての行使であった。

要するに、裁判所は、国が法律を私物化し、地方自治体の自治権を踏みにじることを事実上認めたのである。日本政府は2024年1月12日に大浦湾の埋め立て工事を開始する予定である。

『沖縄タイムス』の12月28日の社説はこう主張した:

地方自治法による代執行は全国どこにも例がない。国は「普天間飛行場の一日も早い危険性の除去」を理由に、自治を侵害する強行手段に出た。

『琉球新報』は12月27日の社説でこう問うた:

他県に住む方々は、自らの地域にこのような事態が降りかかることを是認できるだろうか。… 沖縄が初のケースで、今後沖縄以外にあり得ないという認識の下の無関心であろうか。

これは植民地主義的無関心である。県外の人々は気にもかけないし、米国市民の圧倒的多数は自国政府が沖縄で何をしているかさえ知らない。

バイデン大統領、岸田首相、そして米国と日本の市民へ、私たちは沖縄差別を止め、沖縄の軍事植民地化に終止符を打たなければならない。その第一歩は、総工費65億米ドル以上、完成までに10年以上かかると予想されている辺野古・大浦湾での新基地建設を中止することである。

今こそ正しいことをしよう。

主な署名者(123人)

1マリコ・アベ日本自然保護協会 保護・教育部主任日本
2エイミー・アントヌッチ小規模農業家・活動家米国
3エレン・バーフィールドベテランズ・フォー・ピース、ミリタリーファミリーズ・スピークアウト、ウォー・レジスターズ・リーグ米国
4ウォルデン・ベロフォーカス・オン・ザ・グローバルサウス共同代表フィリピン/タイ
5マックス・ブルーメンソール『ザ・グレイゾーン』米国
6ジャクリン・カバッソ西部諸州法律財団事務局長米国
7ヘレン・カルディコット1985年ノーベル平和賞受賞「社会的責任を担う医師」(PSR)創設者オーストラリア
8マリリン・カーリスルピースアクション米国
9ソンヒ・チェカンジョン平和活動家韓国
10レイチェル・クラークベテランズ・フォー・ピース アソシエート会員、通訳、グローバルコーディネーター米国
11ジェリー・コンドンベテランズ・フォー・ピース理事米国
12マリー・クルーズ・ソトプエルトリコ・ビエケスと米国の歴史研究家プエルトリコ/米国
13ルド・デ・ブラバンダーブレデVZW広報担当ベルギー
14アリエル・ドーフマン著述家米国
15アレクシス・ダデンコネチカット大学歴史学教授米国
16マーク・イーリ翻訳家ニュージーランド
17パット・エルダー「ミリタリー・ポイズンズ」プロジェクト米国
18ジョセフ・エサティエワールド・ビヨンド・ウォー 日本支部長日本
19コラソン・ファブロス国際平和ビューロー 共同代表フィリピン
20トーマス・ファーツィジャーナリスト、著述家イタリア
21ジョン・フェファーフォーリン・ポリシー・イン・フォーカス ディレクター米国
22ノーマ・フィールドシカゴ大学 東アジア言語と文明 名誉教授米国
23マーガレット・フラワーズポピュラー・レジスタンス ディレクター米国
24タカシ・フジタニトロント大学教授カナダ
25ブルース・ギャグノン「宇宙の兵器と原子力に反対するグローバル・ネットワーク」コーディネーター米国
26ジョセフ・ガーソン「平和、軍縮と共通の安全保障」キャンペーン代表米国
27アーロン・グッド政治学者および歴史学者米国
28デイビッド・ハーツォーサンフランシスコ・フレンズ・ミーティング米国
29クリス・ヘッジズピュリッツァー賞受賞ジャーナリスト、著述家米国
30ローラ・ハインノースウェスタン大学歴史学教授米国
31マーサ・ヘネシーカソリック・ワーカー米国
32ミホ・ヒキ幼児教育従事者日本
33ユンシン・ホン沖縄大学助教授日本
34ピーター・ハルム『グローバル・インサイツ』副編集長スイス
35マサミチ(マロ)・イノウエケンタッキー大学教授米国
36アケミ・ジョンソン著述家米国
37エリン・ジョーンズ翻訳家・研究者米国
38ジャン・ユンカーマンドキュメンタリー映画監督日本
39マリコ・カゲリルイット・フレンドシップセンターカナダ
40カイル・カジヒロハワイ大学マノア校助教授ハワイ
41クリスティン・カーチインターナショナル「NATOにノー」ドイツ
42ローズマリー・キーンマサチューセッツ・ピース・アクション 人種的正義ワーキング・グループ米国
43クラウディア・ジョンヒュン・キム香港市立大学香港
44ヨンファン・キム民族問題研究会韓国
45ウラ・クロッツァーウィメン・フォー・ピース フィンランドフィンランド
46ジョイ・コガワ著述家カナダ
47リュウコ・クボタブリティッシュコロンビア大学カナダ
48ジェレミー・カズマロフ『コバートアクション・マガジン』編集長米国
49ピーター・カズニックアメリカン大学歴史学教授米国
50ヒョクテ・クォン聖公会大学韓国
51ジュディス・ラング科学アドバイザー/Aid-Team米国
52ドナルド・ラスロップ平和と正義のためのバークシャー市民米国
53ニディア・リーフ退職教員米国
54アンドレア・ルブラン平和な明日のための911ファミリーズ米国
55スティーブン・リーパーピース・カルチャー・ビレッジ日本
56ジョン・レットマンフリージャーナリスト米国
57マデリン・ルイスアーティスト米国
58チャールズ・ダグラス・ラミス津田塾大学元教授、ベテラン・フォー・ピース琉球沖縄支部国際(VFP-ROCK)日本
59キャサリン・ルッツブラウン大学米国
60キョー・マクレアー作家、インストラクターカナダ
61キャシー・マリー=モリソンボストン大学名誉教授、マサチューセッツ・ピースアクション会員米国
62カズミ・マーシエンセンアーティストカナダ
63アビー・マーティン『ザ・エンパイア・ファイルズ』ジャーナリスト米国
64ケビン・マーティンピースアクション代表米国
65ウェンディ・マツムラカリフォルニア大学サンディエゴ校准教授米国
66ガバン・マコーマックオーストラリア国立大学名誉教授オーストラリア
67マイレード・マグワイアノーベル平和賞受賞者、ピース・ピープル・アイルランド共同創立者北アイルランド
68ニッキ・メイス動物学者、自然保護論者、環境ライター、編集者、デザイナースイス
69マーティン・メルコニアン経済学教授米国
70スーザン・マースキーニュートン・ダイアログ・オン・ピース・アンド・ウォー米国
71ユキ・ミヤモトデポール大学教授米国
72ハルコ・モリタキ核兵器廃絶を目指す広島の会(HANWA)日本
73テッサ・モリス=スズキオーストラリア国立大学名誉教授オーストラリア
74キャサリン・ミュージック海洋生物学者/著述家米国
75クリストファー・ネルソンノースキャロライナ大学チャペルヒル校米国
76ケイジェイ・ノーピボット・フォー・ピース米国
77リチャード・オクスメリーランド・ピースアクション理事米国
78ミドリ・オガサワラビクトリア大学社会学部助教授カナダ
79サトコ・オカ・ノリマツピース・フィロフィーセンター代表カナダ/日本
80ナツ・オノダ・パワージョージタウン大学米国
81アキノ・オーシロエアランゲン=ニュルンベルク大学韓国
82ショーコ・オーシロ大学講師沖縄
83ヒデコ・オータケスタンド・ウィズ・オキナワNYコーディネーター米国
84シナコ・オヤカワ琉球民族独立総合研究学会琉球
85ノリコ・オーヤマ沖縄ピースアピール、VFP Rock 米国
86ローズマリー・ペースパックス・クリスティ米国
87クーハン・パク=マンダー著述家米国
88トニー・パロンバウォータータウン平和、正義、環境のための市民実行委員会米国
89テア・パネスアーリントン正義と平和のための連合(MA)米国
90マシュー・ペニーコンコーディア大学准教授カナダ
91マーガレット・パワー平和と民主主義のための歴史学者共同代表米国
92ジョン・プライスビクトリア大学グローバル・スタディーズセンター研究員カナダ
93マジン・クムシアパレスチナ生物多様性と持続可能性のための研究所教授およびディレクターパレスチナ
94スティーブ・ラブソンブラウン大学米国
95ジョン・ラビーピースアクションメイン支部共同代表米国
96ウィリアム・ラムジー著述家米国
97ワイアット・リード『ザ・グレイゾーン』編集長米国
98ジョン・ラインチ著述家米国
99デニス・リッチズ成城大学教授日本
100ジュン・ササモト弁護士日本
101スーザン・シュノールベテラン・フォー・ピース理事長米国
102マーク・セルダンコーネル大学米国
103ティム・ショロックフリージャーナリスト米国
104スティーブン・スレイナーマサチューセッツ・ピースアクションサポート米国
105スティーブン・スターミズーリ大学助教授米国
106ビッキー・スタイニッツマサチューセッツ大学ボストン校退職教員米国
107オリバー・ストーン映画監督米国
108ダグ・ストラブル学習テクノロジー技術者日本
109デイビッド・スワンソンワールド・ビヨンド・ウォー事務局長米国
110ヒロコ・タカハシ奈良大学歴史学教授日本
111ロイ・タマシロウェブスター大学名誉教授米国
112ユキ・タナカ歴史家オーストラリア
113カイア・ベレイデ平和の海のための島々の連帯行動 済州委員会韓国/米国
114パキ・ウィーランドコードピンク米国
115シャーメイン・ウィリススキッドモア大学客員助教授米国
116ローレンス・ウィットナーニューヨーク大学アルバニー校歴史学名誉教授米国
117エレン・ウッズワースWILPFカナダ共同代表・元バンクーバー市議会議員などカナダ
118アン・ライト元米陸軍大佐・元米国外交官/ベテランズ・フォー・ピース米国
119ショー・ヤマグスク著述家カナダ
120リサ・ヨネヤマトロント大学教授カナダ
121ヒデキ・ヨシカワ沖縄環境正義プロジェクト代表日本
122アヤカ・ヨシミズブリティッシュコロンビア大学ティーチング助教授カナダ
123ジェフリー・ヤング米国上院議員候補米国

1月5日15:37(太平洋標準時)時点での400以上集まっている署名の一覧はここです(英語のみ)