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【記者コラム】被災者への取材 金城大樹(北部報道グループ)


【記者コラム】被災者への取材 金城大樹(北部報道グループ) 能登半島地震の発生を受けて発行した琉球新報号外=1日午後7時45分頃、那覇市のパレットくもじ前
この記事を書いた人 Avatar photo 金城 大樹

 今年のスタートは、石川県で震度7を記録した能登半島地震、そして翌日に羽田空港で発生した日航機と海保機の衝突事故という、悲惨な事案が相次いだ。地震のあった1日夜には、琉球新報社も号外を出し、翌日以降も、震災被害に遭った県関係者や、衝突事故の影響を受け那覇空港で立ち往生する旅客らを取材した。新年早々、事件事故、被災者への取材はやはり気が落ち込む。

 能登半島地震が発生した翌日、特に被害のひどい石川県在住の県出身者や県人会関係者らを取材した。電話をかける時、なんと声をかけていいのか分からなかった。相手は地震の被害や家族の安否確認などで、こちらの取材に答えているひまなどないのではないか。そう思いながら、電話をかけていた。

 そんな中、金沢市に住む石川県沖縄県人会の新川日出雄さんは、私の取材に丁寧に答えてくれた。地震当時は、自宅にいて、強い横揺れを感じたという。「これまでの地震とは全然違った。さすがに津波が来るのではと身構えた」と話す新川さんに「大変な時にすみません」と謝りつつも、言葉を選びながら当時の状況を聞いた。

 事件や事故、災害の当事者で当時の状況などを話すことは当然、気持ちのいいことではないと思う。当時の状況や被害者・被災者の話が、後の教訓になると信じて取材しているが、今後も悩み続ける課題だと思う。