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【記者コラム】海は隔てるか、つなぐか 照屋大哲(八重山支局)


【記者コラム】海は隔てるか、つなぐか 照屋大哲(八重山支局) 石垣島で慰霊の日に広がった透き通った海=2023年6月23日、石垣市のサザンゲートブリッジ
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 「エメラルドグリーンにかがやく沖縄の海は、わたしたちの大切なざい産です」。県のホームページに掲載されている「沖縄の海」に関する書き出し。続けて、島の沖合を流れる黒潮は「日本列島を目指してたえず流れています」と結ぶ。

 沖縄は海と共に生きてきた。透き通る水面に心を癒やされ、色とりどりの魚が捕れ、海は人々の生活を支え、命をつないできた。

 一方、八重山支局に赴任して、海は人の意識を隔ててしまうのかと悩むことがある。昨年12月24日付、琉球新報選定の2023年県内十大ニュース。石垣駐屯地開設の見出しがなく、驚いた。南西シフトの枠組みの文中で触れられているが、見出しを取らなければ気づきづらい。八重山で軍備増強が進む中、辺野古新基地建設に比べ、玉城県政の対応にも熱を感じない。

 「八重山の現実が届いているか」。本土に対し抱いていた疑問が沖縄本島にも向き始めている。海を介すと物理的に離れているため顔が見えない。思いを直接届けにくい。その結果、当事者意識が希薄になるのかな、とため息が漏れる。

 八重山支局の記者として、八重山住民の喜び、希望、葛藤、怒り、悲しみに耳を傾け、伝えたい。でなければ島でペンを握る意味がない。八重山の現実を黒潮に乗せて、本土の前にまずは沖縄本島に届けたい。海が隔てることなく、つなぐことを信じて。