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【記者解説】求められる返済負担の軽減策 複合的な支援・拡充を


【記者解説】求められる返済負担の軽減策 複合的な支援・拡充を
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 沖縄は平均所得が全国で最も低い水準にあり、卒業後に就職しても、借り入れた奨学金の返済が続けば可処分所得はさらに下がる。返済しながら子育てする人も多い。「貧困の連鎖」を断つためにも、人生のステージに応じた多様な支援策が求められる。

 県内大学生の奨学金貸与率は2021年度に5割を切った。大学関係者によると、日本学生支援機構が20年度に本格導入した、返済義務のない「給付型奨学金」の新規受給が影響している。給付型の導入以前は選択肢が貸与型に限られていたため、沖縄の大学生の貸与率は6割を超え、全国1、2位を争う高さだったとみられる。

 近年、給付型が進んだが、県内の貸与型の利用率は依然として4割超だ。制度自体は学生の選択肢を広げる意味で意義がある。一方、返済負担の大きさは、少子化の要因の一つとも指摘される。

 日本は経済協力開発機構(OECD)の中でも所得が20位程度と伸び悩んでいるにもかかわらず、公立教育の学費は3番目に高い。学費負担の軽減につながる国の支援も同時に必要だ。

 自治体による給付型奨学金の導入、企業による従業員の奨学金返還支援なども始まってきたが、制度が知られていない場合も多い。複合的な支援・拡充が求められている。

 (島袋良太)