【うるま】生モズクの大量加工を可能にする勝連漁協のモズク加工処理施設が26日、うるま市の勝連漁港に完成した。2029年度までに加工する生モズクの量を約14倍に増やし、漁業者の所得を10%向上させることを目指している。
勝連漁協では年間約1千トンのモズクを水揚げしている。しかし90%以上をカップモズクの原料として出荷。調理などに用いる生モズクの出荷は手作業や外部委託による加工で、市場の需要は見込めるものの、十分に応えることができなかった。また、カップモズクは加工業者の需要によって原料単価が左右されるという課題があった。
完成した施設では、洗浄や包装の過程に機械を導入し、衛生管理の質や生産効率を格段に向上させた。漁協内で加工できる量を増やして製品化まで行うことで、原料として出荷するよりも高値で販売でき、収入の安定も見込める。
生モズクはカップモズクの原料となるモズクに比べ、若い時期に収穫される。生モズクを収穫後にカップモズクの原料分を栽培収穫することで、年間の収穫回数が増え、水揚げ量の増加も見込める。勝連漁協の玉城謙栄さんは「本来のおいしいモズクを食べてほしい」と生モズクの普及に意欲を見せた。
モズク加工処理施設は勝連漁協が2017年から構想を開始し、国の水産業強化支援事業補助金を活用した。26日の竣工(しゅんこう)式で、漁協の上原勇行組合長は「モズク商品を全国に届けていきたい」と意気込んだ。
(金盛文香)