金銅雲龍文簪、国の重要文化財指定へ 琉球王府最高位の神女・聞得大君のかんざし 2頭の龍が立体的に 沖縄


金銅雲龍文簪、国の重要文化財指定へ 琉球王府最高位の神女・聞得大君のかんざし 2頭の龍が立体的に 沖縄 重要文化財に指定される金銅雲龍文簪(県立博物館・美術館提供)
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 国の文化審議会(佐藤信会長)は15日、「金銅雲龍文簪(こんどううんりゅうもんかんざし)」を国の重要文化財(工芸品の部)に指定するよう盛山正仁文部科学相に答申した。16~17世紀ごろのかんざしで、琉球王府の祭祀を執り行った最高位の神女・聞得大君(きこえおおきみ)が使用したとされている。沖縄に残る神女かんざしの中で最も古い時代の一つ。官報の告示を経て、正式に指定される。

 かんざしは銅製で表面に鍍金(ときん=メッキ)が施されている。カブと呼ばれる直径10・8センチの飾り部分と、髪に差す茎部でできており全長27センチ。カブの側面には玉を手に持つ2頭の龍を鏨(たがね)を用いて立体的に彫られている。

 金銅雲龍文簪は王府の正史「球陽」に記されている、聞得大君と王妃が身に着けた「黄金龍花大簪」に当たる。また、漆工芸など王府伝来の遺品に多く見られる「天」の字を形象化した印が刻まれている。

 県内の工芸品で重要文化財に指定されるのは、「銅鐘(旧首里城正殿鐘)」「梵鐘(旧円覚寺殿前鐘など三基)」に次いで3件目で、歴史資料や建造物なども含む国指定の国宝、重要文化財としては42件目となる。

 玉城デニー知事は「大変うれしく思う。今後とも、文化財の保存・教育普及に努めていきたい」とコメントを発表した。(高橋夏帆)