警報からおよそ30分後に津波が到達した石垣市の中山義隆市長は4日、市の対応について防災訓練が生かされたと評価する一方で、市内では普段、めったに確認されない渋滞が市内各地で発生したことに「想定以上だった」と吐露。車社会の沖縄でどう津波から避難するか、その難しさが浮き彫りとなった。
県津波避難計画策定指針では徒歩による避難が困難な場合などを除いて、避難は原則徒歩でと示す。渋滞が発生した宜野湾市の担当者も「基本的には車での避難は避けてほしい。今後さらに周知しなければいけない」と強調する。
一方、那覇市防災危機管理課の源河北斗主幹は「(渋滞は)災害に対する危機意識が高まった結果だ」と見る。能登半島地震など頻発する地震の情報や教訓に触れ続けた結果、予期せぬ事態でも「大丈夫だろう」と考えてしまう「正常性バイアス」に県民がとらわれなくなっていると分析する。
「次の課題は防災訓練などで正しい避難方法をどう周知していくかだ」。源河主幹は、車での避難よりも周辺の一時避難所への徒歩避難や、高層施設での垂直避難の有効性を指摘し「生活圏の中でどの場所、どの建物に避難するか。家族と共に話し合ってほしい」と呼びかけた。
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台湾東部沖を震源とする地震に伴い、県内では13年ぶりに津波警報が発表され、交通機関が一時停止し、各地で渋滞が発生するなど大混乱した。津波警報からあぶりだされた課題を洗う。
(大嶺雅俊、照屋大哲、嘉陽拓也、梅田正覚、名嘉一心)