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<記者コラム>ピンチに届けるメッセージ 知念征尚(政経グループ)


<記者コラム>ピンチに届けるメッセージ 知念征尚(政経グループ)
この記事を書いた人 Avatar photo 知念 征尚

 もともと出張は敬遠しがちなたちだが、それに拍車をかける出来事があった。

 昨年6月、韓国・済州島に出張した。玉城デニー知事が取り組む「地域外交」の第1弾。ところが直前に台風が沖縄を襲い、日程は大きく狂った。玉城知事は台風対応のため出張を取りやめ、照屋義実副知事が出席した。

 航空機も振り替え便の都合で私一人、東京で1泊し、ソウル経由で済州に移動した。ソウル―済州間は外国の国内線。聞こえる会話は韓国語ばかりで心細さが募る中、悪夢は続いた。

 搭乗便は悪天候で2回ほど着陸を試みた後にソウルに引き返してしまった。私は英語ができず、空港で流れる案内は韓国語ばかりでどうすべきか分からない。韓国語ができる同僚に国際電話でスタッフの話を通訳してもらい、翌日早朝に空港に来れば、振り替え便に乗れることが分かった。

 副知事のスピーチ直前、会場に着いた。県職員から「来られてよかった」と声をかけられた時は、安堵の気持ちが広がった。

 慣れない土地でピンチに直面すれば、人は混乱する。その対処が分からなければ混乱は拍車がかかる。

 今月3日に沖縄に出された津波警報でも、外国人が避難指示を聞き取れず、混乱した様子が報じられた。渋滞が多い土地柄もあり、来訪客に伝えるべき緊急メッセージは多いはずだ。適切な情報が流せる沖縄づくりを意識して取材したい。