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<記者コラム>医療を守る処方せん 嘉陽拓也(暮らし報道グループ那覇・南部班)


<記者コラム>医療を守る処方せん 嘉陽拓也(暮らし報道グループ那覇・南部班)
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉陽 拓也

 今年3月、医師不足により那覇市立病院が小児夜間救急を制限することを報じた時、救急医療の崩壊がついに自分の生活圏でも始まったか、と危機感が強まった。その翌月、次女が熱を出し、おう吐を繰り返した。

 三女が溶連菌と診断された後なのでおそらく同じ症状。半日以上水も飲めず、尿も出ない。脱水や低血糖が心配になり、土曜だったので南部医療センター・こども医療センターに駆け込んだ。

 前年度まで厚生担当として安易な「コンビニ受診」を控えることなど救急医療の負担軽減を訴える記事も書いてきたので、申し訳ない気持ちもあったが親としては頼るしかない。医師や看護師の処置も丁寧で点滴により症状が改善した。本当に助かった。

 救急医療に限らず医療や福祉の現場は人手不足が課題となる。「医療崩壊」「医療ひっ迫」。患者が急増したコロナ禍では何度も報じた文言だが、今後は、慢性的にこの状態が続くことが懸念されている。だから、コロナ禍が終わった、というような表現は「のど元過ぎれば熱さ忘れる」ようで使わないようにしている。

 医療資源が縮小してしまうと、大切な人が病気やけがを負った時、受け入れ先がなく絶望してしまう。行政や現場も対策を講じていくだろうが、報道でより周知していく必要がある。回復して笑顔を見せる次女と同センターを後にする時、そう強く感じた。