防衛相「事前決定」発言 県政与党「許されぬ」 野党自民は政府擁護 中立の公明と維新 静観


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岩屋毅防衛相

 辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票の結果を巡り、岩屋毅防衛相が5日の参院予算委員会で「結果にかかわらず工事を続ける方針を決めていた」などと答弁したことに対し、県政与党からは非難の声が上がった。一方、野党・自民は政府の姿勢を擁護した。

 与党最大会派の社民・社大・結連合の照屋大河会派長は「県民投票で示された圧倒的な埋め立て反対の民意のみならず、米軍基地から派生する事件や事故、爆音被害に目を背ける発言で、到底許されない」と批判した。会派おきなわの瑞慶覧功会派長も「安倍政権が沖縄県民を日本国民と見ていないということが改めてはっきりした。このような対応は予想していたが、裏切られたという思いは強い」と憤った。

 沖縄が日本に復帰する前の1963年に最高権力者のキャラウェイ高等弁務官が「沖縄の自治は神話だ」と述べた演説を引き合いに出したのは共産党の渡久地修県議団長。「安倍政権の姿勢はキャラウェイ氏と重なる。日本は強権国家、独裁国家だと宣言したのに等しい」と断じた。

 安倍晋三首相は岩屋防衛相の答弁に関連し「県民投票の結果について論評する立場にはない」とも答弁したが、野党会派の自民党の島袋大代表は「政府は県民投票の結果を真摯(しんし)に受け止めると言っている」と擁護。「一日も早い普天間飛行場の危険性除去のためにSACO合意を着実に実施していくという姿勢は変わらない」と指摘した。

 中立会派の公明党の上原章幹事長は「県と政府が、双方の主張をどう乗り越えるのか、政治の力が問われている」と静観する考えを示した。中立会派・日本維新の会の當間盛夫幹事長は「首相は県民投票の結果を『真摯に受け止める』と話しているので、説明責任を果たしてほしい」と求めた。