民主主義に背く政府 岩屋毅防衛相「事前決定」発言


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<解説>
 沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡って、政府が2月の県民投票の結果にかかわらず事前に工事を継続させる方針だったとはっきり説明した。地方自治法に基づく県民投票で示された民意に、はなから耳を傾けようとしない姿勢は、民主主義に背くものだ。

 安倍晋三首相は5日の参院予算委員会で、県民投票の結果を「民意だと認めないのか」という質問に「真摯(しんし)に受け止める」「評価を加えることは差し控えたい」とかわし続け、「民意」という言葉を避けた。

 昨年の知事選挙や今回の県民投票を経て、辺野古に反対する強い民意が示されれば示されるほど政府の対応は強権的、強硬的になっている。今では選挙などへの影響を見定め、工事を一時的に中断するような配慮すらうかがえなくなった。

 今月4日、玉城デニー知事が県民投票の結果を首相に通知してわずか3日後に、防衛省は辺野古の埋め立て海域で新たな護岸の建設に着手した。今月下旬には別の工区の土砂投入にも踏み切る予定だ。結果を「真摯」に受け止め工事を推進するという相いれない事実を国会で平然と語れること自体が、今の日本の「民主主義国家」のありようを象徴している。
 (當山幸都)