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沖縄県、係争委申し出 埋め立て承認撤回取り消し「国交相裁決は違法」 国、選挙結果無視し工事

埋め立て区域への土砂投入を続ける工事車両=22日午後3時58分、名護市辺野古

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、玉城デニー沖縄県知事は22日、県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の決定を不服として総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)へ審査を申し出る文書を送付した。審査申出書で県は、辺野古移設を進める国の機関である国土交通省による裁決は中立ではなく違法だとして承認撤回を取り消した国交相の決定を取り消すよう勧告することを求めている。係争委は90日以内に判断を示す。県庁で会見した玉城知事は「国が私人になりすまして行政不服審査制度を用いて強制的に意向を押し通すことは地方自治、民主主義の破壊だ」と述べ、全国の地方公共団体にとって脅威だとの見方を示した。

 一方、21日に投開票された衆院沖縄3区補選では新基地建設に反対する屋良朝博氏が当選し、県内移設反対の民意が再び示されたにもかかわらず、投開票日翌日の22日も工事が強行された。

 県は係争委への審査申出書で(1)沖縄防衛局は一般私人と同様の立場でないため行政不服審査制度で撤回の審査を請求できず、国交相も不適法な審査請求に対し裁決できない(2)国交相は内閣の一員であり、防衛局の申し立てに対して判断できる立場でない―ことなどを挙げた。その上で国交相の取り消し決定は審査庁としての立場を著しく乱用した違法なものだと主張している。

 埋め立て承認の取り消しの決定を取り消させることで、撤回の適法性と有効性を認めさせ、埋め立て工事を再び止めたい考え。仮に係争委が棄却した場合、県は地方自治法に基づき高等裁判所に裁決の取り消しを求め提訴するとみられる。

 会見で玉城知事は「工事の長期化は避けられず普天間の早期の危険性除去は困難だ。軟弱地盤など県からの数々の指摘を一顧だにすることなく違法な工事をすることは看過できない」と強調。その上で係争委に対し「中立・公正な審査をお願いしたい」と述べた。

 申出書は71ページ。23日に国地方係争処理事務局に到達する見通し。

 また県は22日、国交相の埋め立て承認撤回の取り消しを受け、承認撤回の効力停止(執行停止)の取り消しを求める訴訟を取り下げた。国交相が5日に撤回そのものを取り消したため、仮処分である執行停止の状態が消滅したことへの対応。