〈ドクターのゆんたくひんたく〉178 八重山病院医師として 家族の結びつき、治療薬に


〈ドクターのゆんたくひんたく〉178 八重山病院医師として 家族の結びつき、治療薬に
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 八重山で診療にあたる外科医として皆さまにお伝えしたい二つのテーマについて述べたいと思います。「早期発見の大切さ」と「家族との結びつき」です。

 私はがん診療に携わる傍ら、救急外科としても手術を行っております。これら二つの分野には大きな違いがあります。それは予測可能性です。外傷は、普段の生活から一瞬の出来事で重大な状態になります。誰しもがそのリスクにさらされ、時に避けることが困難となります。

 しかし、がんはゆっくりと進行します。最終的には転移し、手術が難しくなり、抗がん剤治療が唯一の選択となることもあります。しかし、手術が可能な状態でも、体の状態に応じて合併症のリスクは異なります。例えば、手術が可能な大腸がんでも手術が遅れると、便の流れが徐々に悪化し、栄養不足や筋肉の衰えを引き起こします。栄養不足や筋肉の衰えが進行する前に手術を受けることで合併症の発生を抑えることができます。

 したがって、がんの早期発見と早期治療は極めて重要です。八重山での経験から、症状が出現しても我慢を続け、困ってから受診する方が多いように感じます。健康診断を受け、普段から何か異常があれば早めに受診することが大切です。

 八重山でもう一つの特色を感じる時があります。それは家族との強い結びつきです。新型コロナウイルスの制限下でも、患者さんのご家族から病院へのお電話が多く寄せられます。また、患者さんにお会いしようと、離島から10人以上のご家族がはるばる訪れることもありました。

 ご家族との結びつきが強いからこそ、患者さん自身もリハビリを頑張り、早く回復できるのです。新型コロナウイルスの影響で直接お会いできない状況であっても、電話でお話しをする機会を設けてみてはいかがでしょうか? 皆さんの家族愛を感じて、私も家族とより話そうと思いました。家族の愛は最も効果的な治療薬の一つだと感じます。

(髙田直和、県立八重山病院 外科)