〈ドクターのゆんたくひんたく〉181 がんのサポート 専門家が多様な支援


〈ドクターのゆんたくひんたく〉181 がんのサポート 専門家が多様な支援
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 「日本人は、一生のうちに2人に1人は何らかのがんに罹患(りかん)する」と新聞やテレビなどで見聞きしますが、がんは誰でもなる可能性がある病気です。

 厚生労働省は、第4期がん対策推進基本計画のなかで「がん予防」、「がん医療」、「がんとの共生」を重要なテーマとして掲げています。がんになっても安心して生活し、尊厳を持って生きることのできる地域共生社会を実現することで、全てのがん患者およびその家族等の療養、生活の質の向上を目指しています。

 がんに限らず病気になると経済的困窮、社会との関わり合いも少なくなるなど苦しい局面に立ち向かわなければなりません。しかしながら、患者の30~40%は相談相手がいないとの調査結果もあります。

 そこで、周りのサポート状況を再確認してみましょう。病院では、治療や看護・ケアは主に医師や看護師が担っていますが、ソーシャルワーカーは経済的な悩みを聞き利用可能な制度・支援情報を提供、心理士は心のつらさを和らげ、理学療法士・作業療法士は楽な動作や生活の工夫をアドバイス、薬剤師は治療薬の説明や副作用対策などを指導、栄養士は食欲減退時の食事メニューや食材の工夫について教えてくれます。病院以外にも各地域の役所、包括支援センターなどで相談できます。

 近年、人々の働き方、暮らし方、生き方はさまざまで、多様性の時代です。各専門家は、サポートを利用する方の希望、性格も加味したうえで適応となる疾患や年齢などをもとに支援の仕方を検討しています。

 沖縄県では、「おきなわ がんサポートハンドブック」を作成(医療機関、市町村役場などで入手できます)しており、ウェブサイトでも見ることができます。内容は、がん治療や療養場所、相談支援、県内医療体制、がん経験者の声など幅広く網羅しています。多くの人に支えられている状況を感じることで、少しでも安心できればと思います。また、皆さんが病気で困っている方と出会ったとき、手を差し伸べる助けになれば幸いです。

(久志一朗、国立病院機構沖縄病院 緩和医療科)