〈ドクターのゆんたくひんたく〉188 肺がん検診を受けよう 早期発見・早期治療が大切


〈ドクターのゆんたくひんたく〉188 肺がん検診を受けよう 早期発見・早期治療が大切
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 みなさんはがん検診を受けていますか。日本では4人に1人ががんで亡くなっています。その中でも肺がんは年々増加しており、2021年の死亡数が第1位と、最も多いがんです。

 がん検診の目的は、がんを見つけるだけでなく、早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによって亡くなる方を減らすことです。肺がんについては、40歳を過ぎたら年に1回の検診が推奨されており、胸部X線(レントゲン)検査を行います。50歳以上でタバコをたくさん吸う方については、喀痰(かくたん)細胞診で痰の中にがん細胞がいないかを顕微鏡で確認する検査も行います。

 ところで肺がんの一番のリスクは何でしょうか。そう、喫煙です。タバコの煙には200種以上の発がん性物質が含まれており、喫煙により男性は約4・8倍、女性は約3・9倍も肺がんのリスクが高くなります。喫煙開始年齢が若く、喫煙量が多いほどリスクは高く、禁煙することでリスクは低下します。

 また受動喫煙も肺がんのリスクを約1・3倍に増加させると言われており、タバコは喫煙者本人だけでなく、周りの人にも影響を及ぼすことを忘れてはいけません。

 肺がんは初期症状に乏しく、咳や血痰(血の混じった痰)、息苦しさ、胸の痛みなどの症状を認める頃には進行していることが非常に多いです。肺がんは、無症状のうちに発見し、早期に治療を行うことで治るケースもあるため、肺がん検診を毎年受診することがとても大切です。そして万が一、肺の異常を指摘された時は、病院で精密検査を受けてください。不安が大きいと思いますが、私たち医療者にサポートをさせていただけたらと思います。

 肺がんは身近な病気であり、予防や早期発見・早期治療がとても大切です。はじめの一歩として、禁煙しませんか。禁煙をお手伝いする禁煙外来で相談もできますよ。そして肺がん検診を毎年受診していただき、1人でも多くの方がより安心した毎日を送ることができるようになるとうれしいです。

 (池宮城七重、国立療養所沖縄愛楽園 呼吸器内科)