世界自然遺産の登録地である沖縄本島北部の自然を守ろうと、県自然保護課は環境省や名護署などとともに、ヤンバルテナガコガネなどの密猟者を摘発する合同パトロールと検問を28日深夜から29日未明にかけて国頭村内で実施した。
この時期、天然記念物のヤンバルテナガコガネと、種の保存法で採集を禁じられているオキナワマルバネクワガタの成虫が夜間に活動する。
観察に訪れる愛好家がいる一方、違法採集のうわさも絶えない。3月にはヤンバルテナガコガネの幼虫がいた巨木の洞(うろ)から、フレークと呼ばれる腐植物ごと持ち去られる事案も確認された。
この日は、10月23日まで県が夜間通行止めにしている林道をパトロールした。その後、通過車両を検問。署員が計13台を職務質問し、不審物がないか調べた。併せて、道路を横断することが多いケナガネズミやヤンバルクイナをひかないよう注意を呼びかけた。
合同パトロールは2019年から年に数回実施している。これまで摘発事案はないが、同課の東盛舞子・生物多様性推進監は「地域の宝である希少な野生動植物を密猟から守り、次世代に継承できるよう各機関と連携をしていきた」と話した。
(宮沢之祐)