PET検査停止問題「患者目線抜け落ちている」 琉球大が10月2日に現状説明 批判や問い合わせ相次ぐ


PET検査停止問題「患者目線抜け落ちている」 琉球大が10月2日に現状説明 批判や問い合わせ相次ぐ 機能画像診断センターが保有する高機能のPET施設
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 琉球大学と民間企業が共同運営する「機能画像診断センター」(FIMACC、西原町)で、がんの進行状況、転移などを調べるPET検査の10月以降の受診予約ができなくなっている問題で、琉大側は10月2日にもホームページ(HP)で予約停止の現状を説明する。29日時点では10月13日までの予約は受け付けず、再開時期については、企業側との協議次第としている。

 資機材や人員体制に問題はないものの、運営を巡り琉球大と民間企業双方の事情でがん治療に必要な検査が止まる事態に、県内病院やがん患者会からは「患者目線が抜け落ちている」との声が上がる。

 関係者によると、琉大側は同センターの運営を巡り企業側に不備があるとして、業務契約の解除と業務引き継ぎを求めている。企業側は、外部監査を入れた適正運営を主張しており、大学側の指摘を「一方的」としている。

 こうした事態について琉大側から県内各病院に説明がないため、同センターには10月以降の予約状況を問い合わせる電話が毎日相次いでいるという。県内のPET検査は同センターのほか、豊崎クリニック(豊見城市)とちばなクリニック(沖縄市)の3カ所のみ。同センターの予約停止が長引けば残る2病院の負担が大きくなり、がん治療への影響が懸念される。

 特に同センターは小児がん患者の検査にも対応しており、南部にある病院の医師は「検査が遅れることで転移による重症化も懸念される。協議中も検査を継続するなど、地域医療に空白をつくらないでほしい」と訴えた。

 (嘉陽拓也)