【名護】沖縄本島北部の鉱山開発事業者が虚偽情報を元に、名護市辺野古の新基地建設などを巡り、複数の投資家に融資の提案をしていたことが明らかとなった。琉球新報が入手した資料の表紙は、防衛省や内閣府のロゴマークがあり「極秘」と赤文字で記されている。横書きでゴシックの字体など、政府機関が作成する文書に酷似している。虚偽の内容が含まれた文書による、融資の依頼は昨年から始まり、直近では8月頃まで続いていた。
文書は、市場の独占とともに「内閣府直轄事業」「石材が価格高騰しているため事業として高収益化が見込める」など、聞こえの良い文言が並ぶ。建機購入や土地拡張などに10億円以上の資金調達が必要だと記している。
さらに、沖縄防衛局がこの鉱山開発事業者に大手ゼネコンとの価格調整を委任しているとするチャート図も掲載されている。「防衛局が(開発事業者に)アプローチして供給可能か伺ってきているような異例状態」との記述もあった。沖縄防衛局は、本紙の取材に「そのような事実はない」と否定し、辺野古新基地建設の関連事業で、この開発事業者と契約している業務はないとしている。
鉱山開発事業者の関係者で融資を担当する税理士の男性に、本紙記者が問うと「私も聞いた話で(投資家に)説明をしている。正式ではないかもしれない」とし、記述内容の根拠を示せなかった。
融資の提案内容は虚偽ではないか尋ねたところ、税理士は「誤解を招くのであれば、当然もう使わないし、(融資について)話した人にはすぐに訂正するようにする」などと述べた。
一方、鉱山開発事業者の経営者は、自身が融資を依頼したという「事実はない」とした。一方で、税理士の男性は提案した内容について「(経営者が)知らない、ということはない。私は勝手に動いている訳ではないので」と回答した。
(「幻影の辺野古マネー」取材班)
融資担当の税理士一問一答 「許可」誤解招くなら訂正
鉱山開発事業者の関係者で融資依頼を担ったという税理士の男性との主なやりとりは次の通り。
―「採掘権特例許可」をもらっているとして融資を募っているか。
「特例許可というのは、私の言葉尻の使い方であって、あくまで施業案がベースになっている。組合に加盟していないと(土砂を)卸せないとか、新規参入がしづらいところを、特例という言葉で表現しただけだ。何か誤解させるような意図はまったくない」
―特例許可によって「市場が独占できる」という話をしているか。
「独占というか、大きく市場はとれるという言い回しだ。あくまで見出しとして概要、分かりやすく説明している。ただし、口頭ではしっかり説明している」
―施業案の話なら「施業案」と書かないといけないのではないか。
「そこは書き方の問題ですべての資料を見せ、説明している。誤解がないように進めている」
―沖縄防衛局がアプローチしてきているという事実はあるのか。防衛局は否定している。
「私も聞いた話で説明している。正式に、ではないのかもしれない」
―虚偽としか受け止められない。
「弁護士にも確認した。特例許可が単独で存在するのであれば、ちょっと変な話になる、誤認を受けるような話になると思う。誤解を招くのであれば、当然もう使わないし、既に話した人にはすぐに訂正するようにはする」
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