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45歳からの起業 何度も諦めず打席に立つ 新垣道子(グラアティア共同代表)<女性たち発・うちなー語らな>


45歳からの起業 何度も諦めず打席に立つ 新垣道子(グラアティア共同代表)<女性たち発・うちなー語らな> 新垣道子(グラアティア共同代表)
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 長年、キャリアを築いてきた大手外資系企業での仕事を辞めて、私は45歳で新しいことに挑戦した。イベント、ウェブサービス会社の立ち上げだ。毎年、年末に行う「ひとり反省会」での「今年できなかったリスト」に、何年も「アイデアを形にして世の中に出す(起業)」という項目が上がり続けていることに、嫌気が差し、2016年、私は事業計画を実行に移した。長年勤めた会社では、新規事業の立ち上げを何度も経験したし、ITスキルも身につけてきた。海外事業もこなしてきたよね、と自分に言い聞かせ、ようやく行動した。

 起業してからは、スタートアップ向けのビジネスコンテストに何度となく挑戦した。今でこそ、女性起業家も少しずつ増えてきたが、当時は女性の参加はなく、男性ばかりの審査員、投資家、参加者だ。マイノリティーの私は、どう見えるのか、と余計な心配をしたこともある。プレゼンがうまくいかず恥ずかしい思いもした。それでも事業を動かし、サービス内容を世の中に知ってもらうための活動と行動をし続けた。

 どんなことでも新しいことに挑戦する時は、多くの勇気とエネルギーが必要だ。しかし行動すると、驚くほど新しい扉が次々と開き、今まで見たことのなかった新しい景色が見られる。行動してアウトプットしてこそ、フィードバックが得られ次のステージに進むことができる。自分自身も事業も成長していくのだ。

 スタートアップの世界でよく例えられている「バッターボックスに何度も立つ」ことを繰り返すと、ヒットが少しずつ出るようになってきた。海外グローバル企業に提案を出し、東京2020オリンピック関連の大きな仕事を獲得し、大手飲料メーカーのビジネスコンテストでは、253社中、優秀賞を頂いた。経済産業省の次世代グローバル起業家育成プログラムでは、米国シリコンバレー派遣メンバーに選抜された。

 その派遣先シリコンバレーで、ある投資家が投げかけた質問が忘れられない。「あなたは、最近、失敗しましたか」と。チャレンジすることがなければ、失敗はない。自分が上手にできることだけを続けていても、失敗はない。

 つまり、新しいことや難易度の高いと思えることに果敢に挑戦しているか、という意図である。とりわけ、私のいるスタートアップの世界においては、新しい価値を世の中に生み出すために、この継続した挑戦を続けられるかが、成功の鍵となっている。私は今日も、バッターボックスに立って、諦めずにバットを振り、時には、三振と悔しさも味わいながら、活動を続けている。