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夏休みの挑戦 チャンスの扉は目の前に 翁長由佳(サンダーバード代表取締役) <女性たち発・うちなー語らな>


夏休みの挑戦 チャンスの扉は目の前に 翁長由佳(サンダーバード代表取締役) <女性たち発・うちなー語らな> 翁長由佳
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 2008年、娘が小学校に入学すると同時に、宜野湾市にある沖縄コンベンションセンター勤務になった。沖縄コンベンションセンターでの5年間は、宜野湾市コンベンションエリアという地域との関わりや、施設運営のきめ細やかな精神力が求められる経験、東日本大震災を機に観光危機管理の取り組みを知るなど、私の人生の中でも忘れがたい貴重な経験をさせてもらった日々だった。

 娘が小学生になり、シングルペアレントである私の生活も大きく変わった。保育士の先生や学童にお任せする時間が長い保育園時代と打って変わり、宿題や課題があったり、PTA活動があったりと、小学校は思っていた以上に親のやることも増えた。ちらほら耳にした「夏休みの自由研究、テーマ決めるの大変よー」の先輩ママの声も、日に日に現実味を帯びてきた。

 そんな時、琉球朝日放送(QAB)の担当者から、環境保全をテーマにした自主事業イベントの実施について相談を受けた。だったら「夏休み」に「自由研究」をテーマにしたイベントを開催したい! 子どもだけじゃなく、きっと悩める親も喜ぶはず。私の要望にQAB側も賛同してくれた。沖縄で環境保全に取り組む企業や団体を一堂に集め、子どもたちが興味を持つ内容に取り組みを落とし込み、自由研究のテーマを見つける場所をつくる。体験プログラムも加え、ここで工作がひとつ完成するとなお良い。考えるだけでワクワクする一大プロジェクトが生まれた瞬間だった。

 それ以来、内容を変えながらも、この「夏休みこども自由研究」イベントは沖縄コンベンションセンターで継続開催されている。受け継がれる想いに敬意を表したい。

 娘が小5の夏休み、沖縄弁護士会が主催するジュニアロースクールに参加した。引っ込み思案で人見知りの娘が、他校の子どもたちと交流し、模擬裁判を行う企画への参加を希望したのは意外な出来事だった。前年に大好きなおじいちゃんを亡くし、殻に閉じこもっていた娘が求めた自分自身への挑戦だった。

 その2カ月後に、学校代表としてお話大会にも出場した。高1の夏休みに参加したイングリッシュ・キャンプがきっかけで、翌年には1年間のアメリカ留学にも行った。夏休みのたびに娘が、自分の前に立ちはだかる壁を乗り越えるチャレンジがあった。少しずつでも歩みを進める彼女の勇気がとても誇らしかった。

 子どもたちにとってひと夏の経験は、どんなに小さな挑戦でも未来の夢につながる道を拓(ひら)くきっかけになる。チャンスの扉は、子どもたちの目の前にある。

翁長由佳 おなが・ゆか

 1970年生まれ、那覇市出身。大学卒業後、沖縄観光コンベンションビューローで26年間従事。2019年6月に県内初の観光危機管理に特化した「株式会社サンダーバード」を立ち上げ、危機に強い観光地の確立を目指し日々取り組んでいる。