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米軍事故への数々の疑問 沖縄に体系的研究機関を 波照間陽(成蹊大学アジア太平洋研究センターポスト・ドクター)<女性たち発・うちなー語らな>


米軍事故への数々の疑問 沖縄に体系的研究機関を 波照間陽(成蹊大学アジア太平洋研究センターポスト・ドクター)<女性たち発・うちなー語らな>
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 私は沖縄県内に専門の機関が必要だと思っている。米軍に関連する中長期的な調査・研究プロジェクトを担える組織のことだ。

 11月29日、鹿児島県屋久島沖で米空軍のオスプレイ1機が墜落する事故が起きた。屋久島や近隣の種子島、米軍機の訓練移転や自衛隊基地の整備が決まっている馬毛島の住民たちは不安に思っているだろう。そして、何度も同様の事故を目にしてきた沖縄県民は、事故翌日にもかかわらず同型の航空機がいつも通り、空を飛んでいることに疑問を禁じ得ない。

 こうした事故が起こる度、数々のクエスチョンが私の頭を巡る。なぜ発生したか、事故原因を究明することは必須だが、それらの事故がどのように処理されたかにも関心が向く。

 今回の事故に関する海外での報道を見ていると、米国外での訓練中にオスプレイ事故が発生していることが紹介されている。今年8月にオーストラリア北部でMV―22の事故で3人の海兵隊員が命を落とした。昨年3月にはノルウェー北部でMV―22Bの事故により4人の海兵隊員が亡くなった。

 オーストラリア政府やノルウェー政府はどれほど捜索や事故処理、原因究明に関わったのか。米軍とそれらの国々の軍隊と事故処理の役割はどのように分担されたのか。事故に関する費用分担はどうか。日本との差はあるのか。これは地位協定の問題につながる。

 技術面の問題として、今月1日付のエアフォース・タイムスによると、米軍は最近、オスプレイ特有のハード・クラッチ・エンゲージメントという問題に焦点を絞っているという。また、海兵隊仕様のMV―22と空軍仕様のCV―22(屋久島沖での墜落機)にはテクニカルな問題の違いはあるのか否か。

 それと関連して、海兵隊や海軍、空軍で事故対応に差があるか否か。受け入れ国の政府や国民に対する情報提供は行われているか。

 そして、こうした海外での事故では、原因が明らかになるまで飛行停止されたのか。事故を受けて現地の住民たちはどのようなリアクションを見せたか。市民の不安はどのように払拭されたか。活動再開に対する反応はどうか。現地のマスメディアはどのように報じたか。

 新聞ではこうした疑問に答える情報が断片的に報じられている。ただ、それらが全体像として結び付きにくく、根本的な問題は何なのか、どこに是正のポイントがあるのかを突き止めていくのが難しい。ここに体系的な調査・研究の必要性を強く感じる。これについては次回のコラムで詳しく述べたい。