那覇地裁判決は、厚生労働相による基準額引き下げを適法と判断し、原告側の請求を退けた。厚労相の対応には、原告側が主張していた沖縄の地域事情の考慮も図られたと認定。厚労相の違法性を指摘する司法判断もある中で、憲法が保障する「最後のセーフティーネット(安全網)」の役割が改めて問われている。
厚労相は引き下げ当時、独自の物価指数を基にした。原告側はその指数の下落率が全国平均4.78%に対し、沖縄は0.996%で大きな差があったと指摘。原告側は「全国平均の名の下の引き下げはとても暴力的」と批判するが、裁判所には認められなかった。
福祉行政は、「最低限度の生活を保障する」とした生活保護法の規定に基づき、困窮する人たちが健康で文化的な生活水準を維持できるよう原点を見つめ直すべきだ。
(金良孝矢)