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【識者】不平等の助長を容認 志賀信夫氏(県立広島大准教授)生活保護訴訟で原告敗訴


【識者】不平等の助長を容認 志賀信夫氏(県立広島大准教授)生活保護訴訟で原告敗訴 志賀信夫氏
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

>>生活保護訴訟、原告敗訴 厚労相引き下げ「合理性ある」

 保護基準引き下げにより、受給者らには食事や入浴の回数を減らしたり、食事の質を落としたり、親戚や友人との交流を控えたりしたなどの影響が見られた。受給者らに「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されているとは言い難い。
 健康であろうとすれば文化的生活ができず、文化的であろうとすれば健康な生活が維持できないという状況を余儀なくされている。引き下げは「節約」の領域を踏み越えた、権力による「抑圧」というほかない。
 那覇地裁判決はこの抑圧を追認したことになる。抑圧されているのは、人間の尊厳と人権だ。これは国際的に合意されている社会正義・規範から逸脱するものである。沖縄における貧困問題の特殊性を無視した一律のデフレ調整も容認してしまった。不平等の助長を容認したとも言える。
 さらに、引き下げの根拠のどこに専門的知見が反映されているのか具体的に示されなかったにもかかわらず、専門的知見は踏まえられているから問題はないという判決内容だった。極めて問題含みの不当判決であると言わざるを得ない。 (社会学)