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【動画あり】80年…やっと父の故郷に フィリピン残留2世のカナシロさん、アカヒジさん 「よく来てくれた」親族らが出迎え


【動画あり】80年…やっと父の故郷に フィリピン残留2世のカナシロさん、アカヒジさん 「よく来てくれた」親族らが出迎え 到着ロビーで親族らから歓迎を受けるカナシロ・ロサさん(右から2人目)とアカヒジ・サムエルさん(同3人目)=14日午後6時53分、那覇空港(ジャン松元撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 「やっと会えたね」「お帰り」―。戦争で日本人の親と生き別れになり戦後フィリピンに残された日本人2世の2人が14日、那覇空港に到着した。ダバオ市在住のカナシロ・ロサさん(80)とパラワン州在住のアカヒジ・サムエルさん(81)の父親は沖縄出身。2人は戦後78年が過ぎても無国籍状態のままだが、比政府の後押しを受けて今回初来日となった。

 2人とも父親の記憶がほとんどないまま厳しい戦後を生き抜き、80代となって父親の故郷・沖縄の地に降り立った。

 那覇空港で開かれた会見で、カナシロさんは「父の生まれ育った場所にたどり着くことができ、家族として受け入れてくれてうれしい」と話し、何度も涙をぬぐった。

 アカヒジさんは「幼い頃から今日まで父の家族に会うことが夢だった。この機会に感謝している」と喜びをかみしめた。

 今回の来沖に向けて、支援団体「フィリピン日系人リーガルサポートセンター」(PNLSC)が写真や情報を公開したところ、2人の親族と見られる人たちが名乗り出た。今回の来沖で2人の日本国籍の就籍許可に向けて、さらに詳しく調査を進める方針。

 那覇空港ロビーでは英語で「沖縄へようこそ」と記された横断幕を広げ、2人の父親の出身地の人たちが出迎えた。

 アカヒジさんの父はうるま市出身とみられ、名を「カメタロウ」と聞かされていたが、その後の調べで「赤比地勲さん」の可能性が高いことが分かっている。アカヒジさんのいとことみられる香村幸男さん(75)は「よく来てくれた」と歓迎した。

 カナシロさんは、県ダバオ会などの調べで父幸生さんの弟の幸元さんら家族にたどり着いた。カナシロさんのいとことなる金城進さんの妻正枝さん(64)=南城市=は、息子の元彦さん(40)の家族らで出迎え「顔は沖縄の雰囲気があるからつながっているね」と笑顔を見せた。

 2人は19日まで県内に滞在予定。父親の出身地を尋ね親族らと交流を深めるほか、糸満市の平和祈念資料館やダバオの塔などを訪問する。

(慶田城七瀬、渡真利優人)