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沖縄発ファッション 多彩なブランドに誇り 金城聡子(浦添市美術館学芸員)<女性たち発・うちなー語らな>


沖縄発ファッション 多彩なブランドに誇り 金城聡子(浦添市美術館学芸員)<女性たち発・うちなー語らな> 金城聡子
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 街もクリスマスで華やぐこの時期に沖縄発のファッションブランドについて語りたい。まねることができない、どこにもない装いである。私は「ドレスメーカー学院」系列の杉野服飾大学出身者だ。学術に加え、4年間、ドレメ式洋裁とファッションの基礎を学んだ。

 先月、浦添市美術館初のファッション展を開催した。那覇市浮島通りのtaion(タイオン)でわが「With Artうらそえ」と共催した。taionは李康光さんが描く沖縄の風物や花々をテキスタイルとした製品である。

 李さんは沖縄で画家の名嘉睦稔氏作品に出逢い、絵を描き始めた。今回は新作のハイビスカス10点と、この中から白・赤・オレンジの花の布をドレスとセットで展示した。今年東京で開催されたDior展さながらの空間となり、彼らの世界観を表現できたと思う。初日の一番客は75歳から85歳のレディーご一行さま。全身taionの服に包まれあでやかだった。期間中、館内はこうしたファンでにぎわった。

 テキスタイルといえば、琉球王国時代は身分の高い人ほど鮮やかな色や大柄の紅型・織物をまとった。一昨年、こうした王朝柄をプリントし製品化するRYUTO design(リュウトウ デザイン)が誕生した。長年ニューヨークでハイブランドのテキスタイルデザイナーとして活躍した謝敷宏さんである。

 レディースやメンズの服に配置する柄や色が絶妙で「洗練」がふさわしい。王朝柄を気軽に身に着けることで文化の普及や保存、継承を図る。春と秋に帰沖して発表するのだが、回を重ねる度に沖縄の花々や風景へと作品は広がり充実している。

 そして、異彩を放つのが1993年誕生のPICTURES(ピクチャーズ)と思う。けん引するデザイナーは大城司さん、もう一人の金城隆司さんは現在pictures doorで活躍中だ。お二人とも30年間、アトリエで制作するスタイルを貫く。大城さんの代表作の一つ、バルーンスカートはウエストに2段の収縮性がある布を用い、下は4段から5段の円形を組み立て立体的に構築する。

 「球体に身体を入れる」「誰でも着ることができる」コンセプトは胸元に上げればドレス。服地以外のさまざまな布も使用する。その種類や組み合わせでバリエーションは無限かつポップだ。

 先日、京都四条烏丸通りでショップのウインドーに飾られたひときわ鮮やかなグリーンのスカートを見つけた。一目でPICTURESと分かり、誇らしく思った。沖縄発のブランドは実に多彩だ。年の瀬にこうした話題に興じつつ、世界の平和を祈っている。