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判決は「国に追随した沖縄差別」「戦前と一緒」… 辺野古代執行、沖縄県敗訴 市民ら300人集会


判決は「国に追随した沖縄差別」「戦前と一緒」… 辺野古代執行、沖縄県敗訴 市民ら300人集会 辺野古代執行訴訟の判決後の知事支援集会で、メッセージを掲げて気勢を上げる参加者たち=20日午後6時49分、那覇市泉崎の県民広場(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 小波津 智也

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に関し、埋め立て工事の設計変更申請に絡む代執行訴訟で福岡高裁那覇支部が20日、国の請求通り県に申請を承認するよう命じた。

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 判決は国の申請が合理性に欠くとする県の主張を退ける内容。かつての県民投票や知事選では新基地反対の民意が示されており、県内では民意無視の判決だと怒りの声が相次いだ。名護市や宜野湾市では早期解決を訴える声もあり、県内ではさまざまな思いが交錯。問題の複雑さが改めて浮き彫りとなった。 

 代執行訴訟の高裁判決が出た20日夕、県庁前の県民広場では辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議が集会を開いた。主催者発表で市民ら約300人が参加。判決の不当性を訴えながら、名護市辺野古の新基地建設阻止への思いを新たにし、日本の地方自治と民主主義を守る取り組みを沖縄から発信し続けることを誓い合った。

 主催者を代表し、元参議院議員の糸数慶子共同代表は県に承認命令を出した判決に「国に追随した沖縄差別ではないか」と語気を強め、司法が責任を放棄したと主張した。「沖縄の今と未来をしっかりと確立させるためにも、諦めることなく沖縄の誇りある自治と民意の実現を求め、行動して声を上げていこう」と話し、玉城デニー知事への支持を呼び掛けた。
 新基地建設の不当性を訴える住民訴訟を担当する白(ペク)充(チュン)弁護士も「国を監視する役割を怠っている」と批判した。普天間飛行場の危険性除去へ国の方針に公益性があるとする判断には、工事を待たずに基地の即時閉鎖を強く訴えた。「人権を上に置かず、国のやることを一番上に置くのであれば、戦前とやっていることは全く一緒だ」と述べ、国に対し声を出し続ける重要性を訴えた。


 集会アピールも参加者の拍手で採択された。普天間飛行場の問題について「辺野古」が唯一の解決策ではないと主張し、「沖縄だけに過重な負担を強いる日米安保の不条理に対し、決して屈することなく、玉城知事を支え、日本の地方自治と民主主義を守るため、最後まで諦めない」と決意した。
 この日は断続的に雨が降り、集会開始の午後6時には気温も低下した。参加者らは県民広場のあずまやに身を寄せ合って雨風をしのぎ、真剣な表情で弁士の訴えに聞き耳を立てていた。

(小波津智也)