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被害男性側「蚊帳の外」判決に不満 認識のずれ争われず、民事訴訟も検討 被告は無言で法廷を後に 高校生失明事件


被害男性側「蚊帳の外」判決に不満 認識のずれ争われず、民事訴訟も検討 被告は無言で法廷を後に 高校生失明事件 業務上過失傷害罪に問われた警察官の判決が言い渡された那覇地裁204号法廷=25日、沖縄県那覇市樋川(代表撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

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 2022年1月にバイクを走行中の男性(19)=当時高校生=に警棒が当たって右目を失明し、警察官の被告(31)が業務上過失傷害罪に問われた裁判の判決で、那覇地裁は25日、求刑通りの罰金刑を言い渡した。禁錮刑以上を求めていた男性側は悔しさをにじませ、真相究明を訴える。被告は判決が言い渡された後、弁護人らに守られながら車に乗り込み、裁判所から無言で去った。

 25日午後2時ごろ。佐藤哲郎裁判長が告げる判決や判決理由にじっと耳を傾けた被告。閉廷に合わせ、ついたての奥に座る男性と、傍聴席で見守る男性の親族らに一礼して法廷を出た。

 弁護人や裁判所職員に周りを囲まれながら足早に駐車場に向かった被告は記者の問い掛けに一瞬足を止めたものの、周囲に促され目線を下に戻し、そのまま何も語らず裁判所を後にした。

 被害男性側の代理人弁護士は、報道陣の取材に応じ「涙を流しているようだった」と、判決後の男性の様子を語った。罰金刑とした検察側の求刑に反し、裁判所がより重い禁錮刑以上の判決を下すのではないかとの希望を抱いていたが、かなわなかった。

 判決は被告側の主張を前提に事実認定がされ「突然現れた警察官に棒のようなもので殴られた」という、男性の主張は採用されなかった。被害男性側の弁護士は、審理に至るまでに男性側の意見が省みられることがほとんどなかったと振り返り、「全てで被害者を蚊帳の外に置いて進められていった」と唇をかんだ。

 事件当日、現場で何があったのか。男性と被告の間で認識のずれがありながら、裁判でほとんど争われることのなかった「事実」を追究するため、民事訴訟を検討している。

 県警は「判決を真摯(しんし)に受け止めるとともに、再発防止に向け、引き続き全力で取り組む。県と連携してできるだけ早く賠償手続きを進められるよう最善を尽くしたい」とコメントした。