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400年の伝統に新風 草木染めにも挑戦 宮古上布の本村三子さん <伝統工芸製品・県指定50年>


400年の伝統に新風 草木染めにも挑戦 宮古上布の本村三子さん <伝統工芸製品・県指定50年> 心地よいテンポで宮古上布を織る本村三子さん=2023年12月7日、宮古島市平良
この記事を書いた人 Avatar photo 友寄 開

 トントントン―。心地よいテンポで機織り機を動かし、艶のある藍色の布を織り上げていく。宮古上布の作り手となって約40年の本村三子さん(73)=宮古島市。33歳の時に多良間島から宮古島に移り住み、宮古上布を織っていた姉の影響で制作を始めた。技術を伝え、後継者育成に力を注ぐとともに、新たなデザインを手掛けて伝統に新風を吹き込む。

本村三子さんが手がけた宮古上布

 教え子の長濱充代さん(43)は「新しいデザイン開発に取り組みながら伝統的な十字絣(がすり)の美しさや織るスピードもすごい。憧れだ」と熱を込める。

 1958年の設立当初から後継者育成に取り組んできた宮古織物事業協同組合。本村さんは過去4年にわたって講師を務め、教え子は10人以上に上る。工房がある自宅には今も教え子たちが技を習いに訪れる。

 自宅の庭には、染料となる琉球藍やインド藍などの植物が並ぶ。宮古上布の作り手の多くが沖縄本島から琉球藍を仕入れる中、「少しでも自分で賄いたい」と数年前から栽培を始めた。

 伝統的な琉球藍以外にも、植物の葉や枝を染料に使う草木染めを取り入れる。多良間村の村花「タラマバナ(ベニバナ)」で染めたピンクを組み合わせ、400年余の伝統がある宮古上布が新しい表情を見せる。

 「同じことをやっていても面白くないでしょう」。伝統の可能性を広げる本村さんの取り組みは続く。

 文と写真・友寄開


宮古上布  宮古島や多良間島で織られる麻織物で苧麻で作った糸を琉球藍などで染める。16世紀に作られ始めたとされ、人頭税下では貢納布とされた。戦前から四大上布の一つとして「東の越後、西の宮古上布」と称された。細やかな十字絣の絵柄が特徴