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自由な発想、広がる可能性 いつか自らの舞台衣装を 知花花織の金城花音さん<伝統工芸製品・県指定50年>


自由な発想、広がる可能性 いつか自らの舞台衣装を 知花花織の金城花音さん<伝統工芸製品・県指定50年> 織り機に座り、手際よく制作する金城花音さん=2023年12月12日、沖縄市知花
この記事を書いた人 Avatar photo 福田 修平

 知花花織事業協同組合の金城花音さん(28)は、2020年から知花花織の世界に飛び込んだ。小さい頃からものづくりや絵を描くのが好きで県立芸術大学美術工芸学部に進んだ。卒業後は名護市の国際海洋環境情報センター(ゴーダック)に就職したが、原点に立ち返り、生まれ育った地元沖縄市の伝統工芸品、知花花織を学び始めた。

 知花花織は一時途絶えていたが、2000年に市が復元作業所を設置し復活。10年に県の伝統工芸製品に指定された。

 生後8カ月から親に連れられ琉球舞踊「踊ぃ飛琉」(うどぅいはる)の道場に通った金城さん。着物や帯など沖縄の伝統工芸品が身近にある環境だった。宇宙や深海が好きで就職したが、体調不良などで仕事を続けるのが難しくなった時、芸大の恩師花城美弥子教授に知花花織を紹介された。

 現在は制作に加え花城教授の補助で学生に織物の基本技術を教えている。全国の工芸作品が集まる新匠工芸会展で22、23年に入賞。今は舞台衣装などを自分で作ることを目指している。

金城花音さんの作品

 ウスデーク(臼太鼓)などの伝統行事で着用されるだけでなく、琉球ゴールデンキングスとタイアップした帯など自由なデザインの可能性も広がる知花花織。金城さんは「伝統工芸品が身近なものになり、受け継いでいくのが当たり前の世の中になってほしい。先人に感謝して自分も広めていきたい」と笑顔を見せた。

 文・福田修平、写真・小川昌宏


知花花織 旧美里村(沖縄市)の知花、登川、池原を中心に伝わった紋織物の一種。模様が縦方向に浮き出す経浮花織(たてうきはなおり)などが特徴。貢納布としてではなく自家用に作られたほか、ンマハラシー(馬乗り競争)やウスデーク(臼太鼓)の晴れ着などに着用されてきた。