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首里城再建の「龍頭棟飾」 壺屋の技で携わる 陶工親子の島袋常秀・啓太さん「参加は誇り」  


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首里城再建の「龍頭棟飾」 壺屋の技で携わる 陶工親子の島袋常秀・啓太さん「参加は誇り」   首里城の屋根を飾る龍頭棟飾や鬼瓦の制作に親子で携わる島袋常秀さん(左)と次男の啓太さん=2023年12月27日、読谷村座喜味
この記事を書いた人 Avatar photo 古堅一樹

 再建する首里城正殿の屋根に載せる「龍頭棟飾(りゅうとうむなかざり)」の制作が進んでいる。「平成の復元」の経験者に加え、若手の作家や技術者らも参加し、将来を見据え技術を継承している。壺屋陶器事業協同組合も龍頭棟飾や鬼瓦の制作に参加し、完成度を高めようと、陶芸や彫刻など多様な分野の専門家で連携を深めている。

 再建する首里城正殿の屋根に載せる龍頭棟飾や鬼瓦の制作に、壺屋陶器事業協同組合から理事長の島袋常秀さん(75)と、次男で同組合所属の陶工・啓太さん(40)が携わっている。常秀さんは土も県産を活用することなども踏まえ「『ウチナームン』で再建できる」と語り、親子で再建へ貢献する思いを込める。

 啓太さんは、南城市玉城糸数の制作現場に参加している。2019年10月の首里城火災の際は衝撃を受けた。再建に当たり、「まさか制作に関わるとは思わなかった。首里城の安全を祈願する気持ちも込めて作りたい」と思いを語る。

 常秀さんは、組合として主体的に復元作業に携わりたいと要請してきた。こうした要請も踏まえ、有識者で構成する県の「首里城復興基金事業監修会議」が制作体制を検討した。その結果、組合も参加することになり、啓太さんが手を挙げてくれた。常秀さんは「参加できることを誇りに思う」と喜ぶ。

 前回の復元を経験した技術者の山守隆吾さん(71)とも互いに情報を共有し、良い関係を築いている常秀さん。今後、龍頭棟飾で使用する釉薬(ゆうやく)も沖縄独特の種類を同会議へ提案する考えだ。

 さらに鬼瓦は、常秀さんら組合員が中心になって読谷村座喜味で制作し24年秋ごろの完成を目指している。

 今回の経験について、常秀さん、啓太さんは「壺屋焼のこれからにも生かせるのではないか」と話し、笑顔を見せた。

(古堅一樹)