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土も沖縄にこだわり 2年かけ実験重ねる 首里城の龍頭棟飾 素材や伝統の技術も組み合わせ


土も沖縄にこだわり 2年かけ実験重ねる 首里城の龍頭棟飾 素材や伝統の技術も組み合わせ 恩納村産の土を使い、チームで連携して制作を進める彫刻作家の早川信志さん(左端)、陶芸作家の屋我優人さん(右端)ら=2023年12月27日、南城市玉城糸数(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 古堅一樹

 再建する首里城正殿の屋根に載せる「龍頭棟飾(りゅうとうむなかざり)」の制作が進んでいる。「平成の復元」の経験者に加え、若手の作家や技術者らも参加し、将来を見据え技術を継承している。壺屋陶器事業協同組合も龍頭棟飾や鬼瓦の制作に参加し、完成度を高めようと、陶芸や彫刻など多様な分野の専門家で連携を深めている。

 首里城正殿の屋根に載せる「龍頭棟飾」は、1992年の「平成の復元」では県外産の土を使っていたが、今回は恩納村産の土を使う。制作する技術者たちは、前回の復元経験者に加え、壺屋陶器事業協同組合の陶工や県立芸術大学出身者らもいる。県産の素材や伝統の技も組み合わせ、沖縄にこだわった仕上がりを目指している。

 制作チームは計12人。制作責任者で陶芸家の山守隆吾さん(71)=山口県出身、恩納村在住=は、平成の復元でも、龍頭棟飾の制作を担った。当時は工期も短く時間が限られる中、使い慣れた県外産の土を使ったという。しかし、今回は県産にこだわって探し、約2年かけて実験を重ねた。高所で強い風雨にさらされても、耐えられる強度を模索し、恩納村内の2種類の土を調合して使うことになった。山守さんは「首里城の龍を作るのに、どういう条件が必要か。逆算して調合を考える」と話す。

 次世代への技術継承にも取り組む。初めて龍頭棟飾の制作に携わる県立芸大卒業生で陶芸作家の屋我優人さん(36)は「学ぶことばかり。伝統にリスペクトしながら、仕上げていきたい」と語る。同じく県立芸大出身で彫刻作家の早川信志さん(34)は、他分野の技術者と作業する中で「いろんなアイデアも出し合う。チームワークが良い」と連携を深めている様子を語った。(古堅一樹)