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大浦湾周辺の住民「長年の対立に終止符を」政治に翻弄、着工にやるせなさにじむ 辺野古新基地 沖縄


大浦湾周辺の住民「長年の対立に終止符を」政治に翻弄、着工にやるせなさにじむ 辺野古新基地 沖縄 大浦湾側の資材置き場(ヤード)設置予定地で、石材を投下する重機=10日午後0時26分、名護市(小型無人機で大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

【名護】大浦湾側での工事が始まった10日、大浦湾周辺の住民らは、強行された工事に怒りややるせない表情を見せた。一方、賛否で対立を生み、住民を翻弄(ほんろう)してきた問題に終止符を打ちたい
との複雑な声も聞かれた。

 「そりゃ、基地を造ってもらいたくはないよ」。工事現場を目の前に臨む大浦地区で、農業を営む大城光正さん(69)は、近隣の住民とは基地関係の話は避けているという。「いろいろな考え方の人がいるから近所では話題にしない。人口が少ない沖縄だから、こうして基地を造っても反対意見が押しつぶされてしまうのだろう」と暗い表情を見せた。

 一方、大浦地区に住む女性(81)は新基地建設に賛成でも反対でもないというが、普天間飛行場周辺の危険性除去の必要性と、自然豊かな大浦湾を埋め立てることに心が揺れる。「工事が始まると、どこかもやもやする」と
複雑な胸の内を明かした。

 瀬嵩地区に住む男性(76)も新基地建設に賛成でも反対でもない。普天間飛行場周辺の住民をおもんぱかり「これ以上、我慢させるわけにはいかない。基地建設の賛否が政局化しているのはうんざりだ。長年の対立に終止符を打ちたい」と切実に訴えた。(渡真利優人、福田修平)