有料

阻止へ「諦めない」 辺野古県民集会 「地方自治軽視許さず」 ゲート前、想定の倍結集


阻止へ「諦めない」 辺野古県民集会 「地方自治軽視許さず」 ゲート前、想定の倍結集 県民集会の冒頭、大浦湾側の工事着工に対して抗議する参加者=12日午前10時9分、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前(ジャン松元撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 国による代執行をへて、県が認めていない大浦湾側の埋め立て工事という新局面を迎えた名護市辺野古の新基地建設。石材投入後初めての県民集会が12日開かれ、名護市の米軍キャンプ・シュワブゲート前には予想を上回る約900人(主催者発表)の参加者が「貴重な海を埋め立てないで」と切実な思いを訴えた。那覇市の県民広場や首相官邸前からも「諦めない」「軟弱地盤に基地はできない」と政府の強行に反対する抗議の声が次々に上がった。
 
 県民集会には早朝からバスやワゴンに乗り合わせた市民らが次々と集まった。主催者の「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は当初500人規模を想定していたが、参加者は2倍近くにまで増えた。那覇市から訪れた60代女性は「工事を止めたい。一人でも多く参加しようと思った」と語った。

 工事は当初、集会当日の12日に着手されるとみられていたが、沖縄防衛局はその2日前の10日、砕石の投入に踏み切った。進行役を務めたオール沖縄会議の福元勇司事務局長が「国はいつも抜き打ちのようなことをする。われわれ国民との信頼関係を壊しているのは国だ」と批判した。「地方自治の軽視を許さないぞ」とシュプレヒコールを上げると、参加者も続いた。

 県民広場でハンガーストライキをしていた沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんも中継で声を届けた。「集会に行けない人々のために訴えたい。私たちにはまだできることはある。諦めない」と呼び掛けた。

 集会後の午後1時ごろ、埋め立てに使用される石材などを搬出する本部港塩川地区に集会参加者ら約30人が集まり、運搬車両の阻止行動を展開した。

 「美ら海を奪うな」と書いたプラカードを持った富村光子さん(78)=那覇市=は体を痛め、辺野古へ足を運んだのは2年ぶり。今も痛みは残るが「国の言いなりにはならない。居ても立ってもいられなかった」と話す。「なぜここまでしないといけないのか、との思いもある」と涙を浮かべながらプラカードを掲げ続けた。(金盛文香、増田健太)