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中国のサービス展開 隣国からも学び交流を 新垣道子(グラアディア共同代表)<女性たち発・うちなー語らな>


中国のサービス展開 隣国からも学び交流を 新垣道子(グラアディア共同代表)<女性たち発・うちなー語らな> 新垣道子(グラアティア共同代表)
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 先日、休暇で上海へ行った。スタートアップコミュニティーの一員として、技術革新を伴う中国のビジネス展開は消費者ニーズを捉えていて興味深い。

 日常生活の中で「こんなサービスがあったら便利なのに」と思ったことはないだろうか。「仕事で忙しく、食事を作る時間がないので、宅配サービスがあればな」「食べ物だけでなく、薬や食材やお花も届けてもらえないかな」「子どもの忘れ物を学校に届けてもらえないかな」など。

 既に中国では実現しているサービスだ。スマホ一つで、レストランと消費者をつなぐフードデリバリーサービスは日本でもおなじみだが、同じプラットフォーム上で、さらなるニーズを拾い上げた「お使いサービス」はユニークだ。女性の労働参加率が世界平均を大きく上回る中国ならではであろう。街中至る所でこのサービスを支えるバイク配達員を見た。さらに、デリバリーサービスの大手は、ドローンを使った配達を複数のオフィスビルや観光地を対象に開始したというから驚きだ。次々と新しいサービスが展開されている。

 電子決済が日本以上に進む中、現地の友人たちは、移動にタクシーではなく、一般ドライバーと乗客のマッチングシステムによるライドシェアサービスを使っていた。タクシーと比べ、低料金で、移動利便が良い。タクシーが走行距離による料金設定となっているのと異なり、需給状況に応じて価格を変動させる合理的なダイナミック・プライシングの仕組みを作り、採用。中国でのこのライドシェアの本格稼働は2014年なので、ようやく今年の4月から限定解禁する日本は10年遅れだ。普及すれば、沖縄のレンタカー不足の代替解決策にもなろう。

 環境に優しい電気自動車(EV)の普及も目を見張る。現地の人に聞くと、上海ではガソリン車の数を抑制するため、ナンバープレートの発行数を限定し、競売で取得するとのこと。取得には約150万円かかる。しかし、市は、EVであればナンバープレートは無償配布という方針を打ち出し、普及に成功したばかりか、上海の大気汚染問題の改善にも貢献した、と話していた。

 現地の人たちとの中国ビジネスにおけるイノベーション、技術活用の話は尽きない。経済を発展させ、人々の生活を便利にするのは技術革新だけではない。それをどこに、誰のために、どう活用するのか、どう組み合わせ発展させるのか、彼らの活動は示唆に富む。今やGDP世界第2位の隣国からも学び、もっと相互経済交流を深められないか。彼らのことを知れば知るほど、そう思わざるを得ない訪問となった。