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市長からのセクハラ訴えも 「申告ない」の根拠問われる 職員調査で「上司からのハラスメント」回答3割に 沖縄・南城市議


市長からのセクハラ訴えも 「申告ない」の根拠問われる 職員調査で「上司からのハラスメント」回答3割に 沖縄・南城市議 アンケートの結果を公表する南城市議ら=29日午前11時43分、県庁
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 古謝景春南城市長のセクハラ疑惑を巡り、同市役所内でハラスメントが放置されている可能性が出てきた。「南城市ハラスメント問題調査検証議員連盟」が実施した職員アンケートで、「市長または上司などからハラスメントを受けた」という回答が3割に上ったからだ。市長からのハラスメント被害の「申告はない」としてきた市の説明も崩れつつある。

 議員連盟の宮城尚子市議は29日に県庁で開いた記者会見で、職員アンケートを実施し、無料相談窓口を設けたことについて「市のガバナンスが不全で、調査権を持つ市議会も役割を果たしていない。一連の問題をうやむやにしてはならないと考えた」と説明した。

 発端になった問題では、業務委託で古謝市長の運転手をしていた女性が2022年12月、「市長からセクハラを受けた」と申告したが、市は第三者を入れた調査を拒否。同月末に女性の契約を解除した。本紙報道で表面化した後も、市長は疑惑を否定。市議会も与党会派の反対で特別委員会(百条委員会)設置の動議を否決していた。

 アンケート結果を受けて、市の泉直人総務部長は本紙に対し「事実確認できない部分がある。何もコメントすることはできない」と答えた。

 市長からのセクハラ・パワハラを訴える回答も複数あった今回の調査では、ハラスメントを受けたと回答した人に相談先も尋ねている。「上司・同僚」が12件、「職員労働組合」が5件、「役所内の相談窓口」が1件と回答があった。

 昨年12月の市議会で、元運転手以外からの市長のハラスメント申告を問われ、「申告はない」と答弁していた泉部長は「相談がここ(総務課)に至っていない」と主張。「受けてないので、(ハラスメントは)ないという認識」と述べた。第三者委を設置しない考えも重ねて示した。

 議員連盟側は「百条委を否決した皆さんも考えざるを得ない状況になる」(瑞慶覧長風市議)と指摘したが、与党会派の大勢は様子見だ。ゆまぢり会の新里嘉会派長は「(議員連盟から)直接話があれば、詳細を含めてしっかり話を聞きたい」。会派ニライ・カナイの宮城秋夫会派長は「今聞いたばかりで検討していないので答えを差し控えたい」と述べるにとどめた。一方、公明党の銘苅哲次市議は「内容を見ないとなんとも言えないが、放っておけない結果だ。第三者委設置に向けた条例整備を市に働きかけていく」と語った。

 議員連盟が設置した無料相談窓口は、うるま法律事務所の仲宗根忠真弁護士。29日から来月29日まで午前10時から午後8時まで受け付ける。実名・匿名いずれも可能。連絡先は、電話090(2850)5223、メールginneyusa@marble.ocn.ne.jp

(上江洲仁美、南彰)