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「自分ごと」として ミャンマー知って ナンミャケーカイン氏 京都精華大学特任准教授


「自分ごと」として ミャンマー知って ナンミャケーカイン氏 京都精華大学特任准教授
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

地上戦では、民主派の若者でつくる「国民防衛隊」(PDF)が少数民族の部隊と連携して戦い、国軍を圧倒している。追い詰められた国軍は、地方部で民家や市場を空爆するなど、市民を標的に空からの攻撃を強め、市民が多数犠牲になっている。
 国軍が駐屯地や周辺に地雷を埋めたまま撤退し、村人や子どもたちが地雷の被害に遭うケースも増えている。
 市民生活で深刻なのは食糧不足だ。戦闘の影響で主食のコメの生産量が例年の4割まで落ち込み、生活必需品の食用油もクーデター後の外貨不足で輸入が制限され、入手が困難になっている。
 ガソリンの輸入制限で輸送費が上がり、物価が高騰した。ガソリン不足で発電所も満足に稼働できず、長時間の停電が生活に支障を来している。
 混乱するミャンマー情勢の解決に向け、国際社会は実効的な手を打てておらず、ミャンマー人は「自分たちの自由や民主化は、自分たちの手で獲得しないといけない」という認識になっている。
 国と国の戦争ではなく国内の紛争ではあるが、被害を受ける側の苦しみは同じだ。尊い命を不条理に奪うことが、国軍だから許される訳がない。「内戦」という言葉で片付けず、真実を見なければならない。
 戦争を経験した日本の人たちには、「自分ごと」としてミャンマーに関心を寄せ、実情を知ってほしい。 (開発経済学)