1月1日に発生した能登半島地震を受け、琉球新報は2日までに沖縄県内市町村に防災アンケートを実施した。最大クラスの津波発生時に被害が想定される「津波災害警戒区域」に、高齢者や障がい者ら「要配慮者」の施設が少なくても628カ所ある一方、避難確保計画の作成は全体の13・2%に当たる83カ所にとどまることが分かった。識者は施設側の防災意識の低さや作成にかかる人手不足を指摘している。
能登半島地震では大津波警報が発表され、病院や福祉施設にいた高齢者ら自力避難が難しい人々への対応が改めて課題として浮き彫りになっている。
県内では海に面さない南風原町を除く40市町村で津波災害警戒区域が設けられている。市町村の地域防災計画に定められた要配慮者施設の管理者は避難確保計画の作成が義務付けられている。
アンケートに回答した市町村のうち、全施設で避難確保計画を作成したのが浦添(3施設)、金武(同)、恩納(2施設)、多良間(1施設)の4市町村。作成した施設の最多は石垣市で97施設中35施設と全体の36・1%を占める。
一方で、沖縄市では108施設が津波災害警戒区域に入っているものの、計画作成はゼロ。作成状況を把握していないなど、事業者との連携が不十分とみられる自治体もあった。沖縄市の担当者は「各施設で防災計画を作っている可能性はあるが、避難確保計画の報告は確認されていない」と説明した。行政側も施設側へ作成を働きかける必要性に言及した。
災害時に避難する際に助けが要る障がい者や高齢者を事前に市町村が登録する「避難行動要支援者名簿」については、粟国、多良間、竹富の3町村を除いた38市町村が作成し、対象者は計14万2603人だった。要支援者のうち一人一人の避難手順をまとめた「個別避難計画」は22市町村が計3855人分の作成を済ませている。
アンケートは1月19日、県内41市町村の防災担当部署に対しファクスや電子メールで調査票を送信した。2月1日までに全市町村から回答を得た。
(小波津智也)