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基地由来の汚染に不安 本島中部の取水再開  水の配布求める声も 「大量放水」の米軍へ怒りも 沖縄


基地由来の汚染に不安 本島中部の取水再開  水の配布求める声も 「大量放水」の米軍へ怒りも 沖縄 イメージ
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 「懸念された事態が来た」。県企業局が5日、人体への影響が懸念されている有機フッ素化合物(PFAS)対策で停止している中部水源からの取水を再開する方針を決めた。少雨によるダム貯水率の低下で県民が節水に努める中、米軍基地由来の汚染への懸念もつきまとう。市民からは、米軍に対する規制や、県民に水を配布する対策などを求める声が上がった。

 宜野湾ちゅら水会の町田直美代表は、中部水源からの取水再開で、浄水器を付けてない家庭や、学校や保育園で給食を食べる子どもたちへの影響を懸念し「水源が汚染されたことにより、嘉手納水源を使わず、北部の水源に依存せざるを得なかった結果の断水騒ぎだと、県民に気づいてほしい」と訴えた。

 嘉手納基地前の抗議に参加している長嶺智子さん=浦添市、70代=は、基地内のゴルフ場で大量の水を30分以上まき続けている様子を目撃した。「PFAS汚染は米軍が原因ではないかと言われ、中部の河川から取水を止めてきたのに、県民の節水もお構いなしに大量に放水するのか」と米軍への規制を求めた。

 米軍基地による汚染の調査を続ける「インフォームド・パブリック・プロジェクト」の河村雅美代表は「懸念していたことが起こった。県が安全対策に努めていた中で取水を再開しなければならないところに不合理性がある。水の安全、安定供給の危機だ」と指摘した。米国では軍がペットボトルの水を配布する対策をとったことに触れ、「国は基地に立ち入りできないことで足踏みをするのではなく、水を配るなど対策に汗をかくべきだ」と強調した。 

(慶田城七瀬、島袋良太)