県平和委員会が防衛省に情報公開請求した、沖縄の日本復帰後50年分の陸上自衛隊所属の自衛隊員による犯罪統計のうち、全国の師団等別に犯罪の発生・摘発件数などを記した資料について、公開された44年分の数値がすべて黒塗りで開示されたことが8日までに分かった。欠落した6年分について防衛省は「作成または取得しておらず、保有を確認できなかった」としている。
県平和委員会は2023年3月、防衛省陸上幕僚監部が保有する1972~2021年度の50年分の犯罪統計資料のうち、「犯罪統計に関する達」の別表に記載された「師団等別犯罪発生・検挙状況」を公開請求した。このうち91~95、97年度の6年分を除く44年分の資料が23年10月末、同委員会に届いた。
資料は自衛隊組織内や関連施設内で司法警察職務に当たる警務隊が取り扱う自衛隊員の犯罪について、年度ごとに犯罪の種類や所属の師団ごとの発生・摘発件数や人数を記載した表とその表紙。表に記載された数値がすべて黒塗りだった。
不開示理由について、防衛省は「警務隊の司法警察職務に関する情報であり、公にすることにより犯罪を誘発し、または犯罪の発生を容易にするなど、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがある」と説明し、情報公開法第5条第4号を根拠に挙げた。
自衛隊員による県内での犯罪を巡っては、23年9~10月にかけ、陸上自衛官2人が大麻取締法違反容疑で逮捕されたほか、同年9月には海上自衛官が女子中学生にみだらな行為をするなどしたとして、県青少年保護育成条例違反と児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された事件などがある。
県平和委員会の大久保康裕事務局長は「公開されては困るほど自衛官らの犯罪が増えているのかと疑念が出る。数を開示したうえで積極的に問題の解決に努めるべきだ」と主張した。
(西田悠)