prime

【記者ノート】虚実ない交ぜの「マネー」 辺野古めぐる投資トラブル 東京報道グループ 安里 洋輔


【記者ノート】虚実ない交ぜの「マネー」 辺野古めぐる投資トラブル 東京報道グループ 安里 洋輔

 米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市辺野古の沿岸部=2023年12月8日

この記事を書いた人 Avatar photo 安里 洋輔

「辺野古への投資話が出回っている」―。
 新型コロナが猛威をふるっていた2020年12月、東京都内で会った、ある投資家から聞いた一言が取材を始めるきっかけだった。県との対話を拒みながらも、政府が強行する辺野古新基地建設工事。その現場の裏側で一体、何が起きているのか。取材を進める中で、警視庁が捜査に乗り出した9億円の投資トラブルに行き当たった。
 「国の予算なので取りっぱぐれることはない」
 詐欺被害を訴える男性は、投資勧誘の場面でそう持ち掛けられたという。トラブルの背景に、軟弱地盤など数々の問題をはらみながらも、防衛省の試算で約9300億円という巨額の公費を投じる国の頑(かたく)なな姿勢があると感じた。事案には、辺野古の地元団体の関係者が絡んでおり、進展次第では地元の分断をも招きかねない。そうした判断の下、関係者への取材を重ねて、2023年8月に報道に踏み切った。

安里洋輔記者

 本紙は、本事案とは別の沖縄県警が捜査を進める海砂利採取船への投資を巡るトラブルも報じている。約3年前に耳にした「投資話」も、今回の事案とは全く異なるものだ。こうした事実を重ねて、取材班が行き着いた一つの答えがある。それは「辺野古」が、われわれ県民とは交わらない世界でのマネーゲームの舞台になっているということだ。虚実ない交ぜの「辺野古マネー」。その実態をあぶり出すために取材を続けていく。