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嘉手納基地の騒音、沖縄市で苦情件数4倍に 戦闘機の巡回配備、経路逸脱が要因か


嘉手納基地の騒音、沖縄市で苦情件数4倍に 戦闘機の巡回配備、経路逸脱が要因か 騒音の苦情電話増加の原因とみられるF35Aステルス戦闘機=2023年12月、米軍嘉手納基地
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 米軍嘉手納基地の2023年の航空機騒音による苦情件数が、22年と比較して、沖縄市で約4・3倍、北谷町で2倍となっていることがわかった。

 沖縄市、嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)の沖縄防衛局や在沖米国総領事館などに宛てた要請文で明らかになった。

 苦情件数増加は、F15戦闘機退役に伴う巡回配備で騒音の大きいF35戦闘機が巡回配備されていることや、F35などの外来機が住宅地などの上空を飛行し、場周経路を逸脱していることなどが要因とみられる。

 三連協の要請文では23年の沖縄市の騒音苦情件数は439件で、前年比で337件の増、北谷町は204件で同比103件の増、嘉手納町は552件で同比25件増となっている。

 三連協事務局によると、沖縄市での苦情件数の増加は主に、巡回配備後の場周経路逸脱が要因とみられるという。これまで苦情件数が多かった市北部地区だけでなく、山里や南桃原などの市南部地区からの苦情も増加している。要請文によると、三連協が24年1月30日に道の駅かでなで実施した目視調査でも、10回の市街地上空の飛行が確認され、住民からの苦情を裏付けるものだったという。

 北谷町でも日頃から苦情が多い砂辺や宮城に加え、内陸部の上勢頭からも増加した。町基地・安全対策課の担当者は「苦情の中身はいつもと同じだが、これまで苦情があまり上がらなかった地域から届くようになった」と話した。F22やF35戦闘機など騒音が大きい機体が配備されたことで、広範囲に騒音が広がった可能性を指摘した。

 三連協は要請文で、飛行経路や時間帯などについて周辺住民への影響を最小限とする実効的な取り組みなどを求めた。

(福田修平、石井恵理菜)