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男女共同参画と多様性 自分らしく生きる社会こそ 野崎聖子(うむやす法律会計事務所代表、弁護士) <女性たち発・うちなー語らな>


男女共同参画と多様性 自分らしく生きる社会こそ 野崎聖子(うむやす法律会計事務所代表、弁護士) <女性たち発・うちなー語らな> 野崎聖子
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 正直に言うと私は「男女共同参画」にモヤモヤしていた時期がある。女性というだけで何かしらの役割が回ってくることがあるが、子どもといる時間をたくさん取りたかった私には少し負担だった。時間の問題だけでもない。知識も経験も未熟なのに「女性」であれば誰でもよいのか、少数の女性に負担が偏るのではないか、キャリアアップを望んでいるわけではないなど、小さな葛藤がたくさんあった。

 改めて、国の第5次男女共同参画基本計画(2020年12月閣議決定)には、目指すべき社会として「男女が自らの意思に基づき、個性と能力を十分に発揮できる、公正で多様性に富んだ、活力ある持続可能な社会」「仕事と生活の調和が図られ、男女が共に充実した職業生活、その他の社会生活、家庭生活を送ることができる社会」などと示されている。

 つまり男女共同参画社会とは、「女性が」ではなく、「誰もが」自分らしく生きる社会の実現を目指すものである。「誰もが自分らしく生きる社会」の実現は、女性はもちろん、性別、国籍、年代、属性などにおいて多様な声に耳を傾けるところから始まる。だからこそ、社会のあらゆる意思決定の場に女性を含め、さまざまな属性の人が参加し、多様な意見や感覚を伝えることは意味がある。

 ビジネスの分野でも多様性は一つのキーワードになっており、国は企業における女性登用を推進している。管理職の女性比率が高い会社はその理由について「価値観の近い人だけで意思決定をすると視野が狭くなり判断を誤るリスクがある」とか、「多様な人材が経営に携わることで世の中の変化やニーズの多様化に、より柔軟に応えることができる」などと説明する。

 県内でも多くの企業や団体が研修などを通じて女性管理職の育成に取り組んでおり、女性たちの活躍の芽は育ちつつある。ただ、沖縄の女性の家事育児時間は全国でも長い方なので女性の負担が気になる。多くの女性が仕事と家事の大半をこなす「スーパーウーマン」であることを求められ、またはそのようにあらねばならないと負担に感じていないか。ハードワークが可能な特定の人や突出した能力を持つ人だけが活躍する状況は多様性の観点からは望ましくなく、持続可能でもない。ワークライフバランスは男女共通の課題である。男女を問わず幅広く多くの人が意欲的にチャレンジできる土壌づくりが必要だ。

 個人が背負う荷物を増やすだけでなく、同時に、荷物を減らすまたは一つ一つを軽くする工夫をしたり分担したり、精神的なハードルも下げてたりして、誰もがもっと気楽にチャレンジできる環境を整えられるとよい。

 モヤモヤしていた私は、問題解決を先送りにし若い世代にたくさんの社会課題を押し付けたくないとの思いで、今自分にできることをしている。男性も女性も生き方を自分で選んで、人生を楽しみたい。