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島田知事の責任問う 「人柄と役柄は区別を」 沖縄戦講座 


島田知事の責任問う 「人柄と役柄は区別を」 沖縄戦講座  沖縄戦当時の県知事島田叡氏の戦争責任を訴える沖縄国際大学非常勤講師の川満彰さん(写真右側)と、耳を傾ける参加者ら=9日、那覇市泉崎の琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

「沖縄戦の記憶継承プロジェクト―戦争をしない/させないために」(同プロジェクト実行委員会主催)の第2期7回目講座が9日、那覇市泉崎の琉球新報社で開かれた=写真。沖縄国際大非常勤講師で沖縄戦研究者の川満彰さん(64)が登壇し、沖縄戦当時の島田叡県知事の戦争責任を説明した。約30人が参加した。

 川満さんは、顕彰碑や映画などで島田知事が賛美されている状況に危機感を示した。賛美の理由には、沖縄戦直前の1945年1月に死を覚悟して県知事に着任したことや、戦闘が続く中で県庁職員らに対して「生きろ」と伝えたことが挙げられるが、このことだけで島田知事を正しく伝えることにはならないと指摘した。島田知事を知る人が伝える人間的な魅力を認めながらも、「人柄と役柄は区別して考えるべきだ」と訴えた。

 島田知事が全国に先駆けて義勇隊の結成を発案し、住民を戦場に動員するなど、戦争遂行のため積極的に日本軍に協力したことも強調した。北部に避難した住民に対し、米軍に投降してはいけないと指示し、飢餓と病気の犠牲を招いたことも指摘した。島田知事には戦争責任があるとして「戦争は人災だ。戦争の中で誰かを英雄視してはいけない」と強く訴えた。

 沖縄戦体験者の垣花豊順さん(90)は「玉城デニー知事や県庁職員は、戦争につながることには絶対に協力しないという意志を持つべきだ」と述べた。 (玉寄光太)