宮良長包歌碑から歌声響く 声楽家・泉さん亡くなる2日前に録音 式典で100人が「えんどうの花」合唱 沖縄


宮良長包歌碑から歌声響く 声楽家・泉さん亡くなる2日前に録音 式典で100人が「えんどうの花」合唱 沖縄 録音された泉さんのピアノで合唱する来場者=16日、大宜味村塩屋の「えんどうの花」歌碑
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 【大宜味】2月に急逝した声楽家の泉惠得琉球大学名誉教授(享年76)が会長を務める宮良長包協会は16日、大宜味村塩屋にある「えんどうの花」の歌碑にメロディーボックスを設置した。設置は泉さんの念願で、その音源は亡くなる2日前に仲間と録音した。ボタンを押すと、泉さんの歌声が塩屋湾のほとりに響いた。

 宮良長包は1883年生まれの作曲家。泉さんは長包を「沖縄近代音楽の父」と呼んで研究を続け、琉球大学を定年退職後、音楽家らと2018年に宮良長包協会を立ち上げ、会長となった。

 メロディーボックス設置のめどがついた2月11日、協会の拠点・あけぼの園(那覇市)に声楽家の理事らが集まり、自分たちで歌って録音しよう、と決まった。泉さんは「伴奏譜はいらないよ」とさっとピアノに座った。理事らは「先生、テンポが遅いよ、もう一度」などと楽しい録音の時間を過ごしたという。

 「えんどうの花」は長包の代表曲で、作詞者の金城栄治が旧塩屋小学校に勤務したころに作られた。大宜味村の宮城政信教育長によると、曲は地域に親しまれ、夕方の村内放送で毎日流れる。

 3月16日のお披露目式には宮城教育長や歌碑を管理する知念章塩屋区長、泉さんの妻克恵さん(67)ら遺族が集まり、約100人が曲を合唱した。 

(増田健太)