車いすで乗車できる「UDタクシー」、利用の壁は高く 3度目のNPO調査、初の乗車実現も 沖縄


車いすで乗車できる「UDタクシー」、利用の壁は高く 3度目のNPO調査、初の乗車実現も 沖縄 乗務員のサポートを受けてユニバーサルデザイン(UD)タクシーに乗り込む関係者=19日、宜野湾市伊佐の県自立生活センター・イルカ
この記事を書いた人 Avatar photo 渡真利 優人

 障がい者の自立を支援するNPO法人県自立生活センター・イルカ(宜野湾市)は19日、車いす利用者らが乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーの配車対応に関する調査を実施した。3社目の電話で乗車することができたものの、UDタクシーの存在を知らない会社や当日予約に応じないところもあった。調査は本年度3回目で、実際に乗ることができたのは初めて。障がい者がタクシーを気軽に利用できない状況にあることが、改めて浮き彫りとなった。

 調査は県ハイヤー・タクシー協会に加盟し、UDタクシーを保有しているタクシー会社へ無線局を通じて配車を依頼するもの。昨年10月に実施した初回調査は1台も配車されなかった。2回目は2月27日に実施し、5、6社に依頼して応じたのは1社のみだった。その1社も車両のトラブルで乗車できなかった。

 今回は配車に応じた無線局に電話すると、オペレーターから「UDタクシーって何ですか」「当日予約は難しい」といった返答があった。2社目はUDタクシーを保有しているのにもかかわらず「UDタクシーは持っていない」と話し、予約を拒否された。

 3社目への電話でUDタクシーの配車に応じ、20分ほどで到着した。前回、タクシー乗務員が手間取っていたスロープ設置や助手席の折りたたみはスムーズだった。タクシー到着から5分ほどで目的地に向けて出発することができた。

 タクシー乗務員の女性は「友人の弟が車いす利用者で、私が送迎をしている。UDタクシーを利用しにくい状況があることは報道を通じて把握している」と話した。

 調査に参加したイルカのメンバー(30)は「乗車できたことは大きな一歩。ただ依然としてオペレーターがUDタクシーを知らない現状がある。今後も継続して調査していきたい」と話した。
  (渡真利優人)