コザ高生徒の自死を巡って第三者再調査委員会が22日に調査報告書(概要版)を公表した。同日、県庁で開いた会見の主なやりとりは以下の通り(要旨)。
古堅豊委員長(弁護士) 報告書最後の「むすびにかえて」のメッセージは、調査をやっていく中でどうしても委員全員の思いを伝えたく作成した。多くの方々に読んでほしい。
生徒の自死原因は、顧問による不適切指導が大きな要因だっただろう。顧問と生徒は単なる主従関係ではなく、支配的要素がうかがえた。教職員らに、子どもの権利についてよく理解してもらう研修などを行うよう提言している。
―約2年3カ月の調査の受け止めを聞きたい。
古堅氏 最初の調査期間が非常に短く、初動に問題があったと考える。遺族の意思を確認し慎重に進めていれば、もっと調査ができていただろう。時間がたち(関係者の)記憶の減退や重要な証拠の散逸もあった。できることをやってきた。県教育委員会の三役会議の記録が残っておらず、誰が決めたか分からない問題があった。
―元顧問が再調査に答えた内容を教えてほしい。
古堅氏 報告書で事実認定した発言を否定する内容があった。発言(内容)には変遷があった。
―再調査の意義は何だったか。
古堅氏 時間はかかったが、遺族にとっては意味のあるものになったと思う。
上間陽子副委員長(琉球大教授) 生徒が残した記録から、彼が見た景色に迫ろうとし、しっかり考えた。一生懸命頑張ったが、全然ほめられずに「キャプテンを辞めろ」と言われるなどし、そのあたりの痛ましさに迫りたかった。
―心理的アプローチのポイントは何か。
宮里新之介委員(公認心理士、沖縄国際大准教授) 生徒は顧問からいかに怒られないように対応するか、非常に気を張らないといけない状態だった。怖かったと思う。時間をかけて調査できたのは良かった。
―委員も痛みを感じたか。
安里学委員(弁護士) 生徒は空手を愛し、続けたかっただろう。他の部員や同級生らの喪失感を思うと痛ましすぎる。
―社会に求められることは何か。
古堅氏 人一人を個人として人格を尊重することが大切だ。そういう気持ちが社会全般に求められる。