有料

「自分の人生は自分で決める」「バリアフリーの交通機関を」…壁のない社会に 障がい者らが笑顔で訴え 沖縄  


「自分の人生は自分で決める」「バリアフリーの交通機関を」…壁のない社会に 障がい者らが笑顔で訴え 沖縄   パレードで談笑しながら、和気あいあいと行進する参加者ら=1日、那覇市の国際通り
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 壁はなくなったか―。県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例(共生社会条例)の施行から10年となる1日、条例制定に関わった人や、地域社会での自立を図る障がい者ら160人が那覇市の国際通りをパレードした。

 「自分の人生は自分が決める」「バリアフリーの交通機関を」。参加者が思いを込めたのぼりが並んだ。コスプレ姿の参加も目立った。 

 名護市の松田吹雪さん(30)は金髪のリーゼント頭に。「障がい者も外へ出たい」。そんな思いを、たくさんの人に知ってほしくて目立つ格好にした。先天性脳性まひで車いすでの生活。ヘルパーを活用し2年前から1人暮らしを始めた。「先輩たちが作ってくれた条例のおかげ」

 障がいのある子どもが地域の学校に通うようになった。ノンステップバスが増えた。条例の成果を喜ぶ声が聞かれた。県精神保健福祉会連合会の会長山田圭吾さん(69)も「相談窓口ができた」と評価する。一方で「当事者にどの程度伝わっているか。周知が課題」とも。「精神障がい者への偏見は特に根強い。こういった障がい者を知る機会が大切」。パレードに向かって手を振る子どもたちがいたことを喜んだ。

 脳性まひによる言語障がいがあり体が不自由な仲宗根有美子さん(61)=宮古島市=は式典であいさつに立った。41歳から7年間入所していた福祉施設で母親との面談を3年に1回に制限されたという。親戚らに反対されたが、母親に会うため48歳の時に施設を出た。「今でも、施設を出たくても親などに反対され出られない人がいる」と訴えた。

 パレードを準備した県自立生活センター・イルカ代表の長位鈴子さん(61)は「私も外に出るのに勇気がいる」と、障がいのあるなしで壁があることを指摘する。「でも、これから変わるんじゃない」。条例の改善に期待して前を向く。

 (宮沢之祐、狩俣悠喜)