【東京】昨年に優れた成果をあげた写真家に贈られる第43回土門(どもん)拳(けん)賞の授与式が11日、千代田区の毎日新聞東京本社の毎日ホールであり、沖縄の写真家石川真生さん(70)へ賞が贈られた。石川さんは「くれるのならもっと早くくれよと思った。沖縄には本当にいい写真を撮っている人がたくさんいる」と述べ、次につなげるための受賞との思いを語った。
受賞対象となったのは都内で昨年10月から開催された大規模個展「石川真生 私に何ができるか」。半世紀にわたって沖縄と、そこに住む人を撮り、創作写真を加えた166点を展示した。
総評した作家の梯久美子さんは「常に今を継続して撮り続け、それが積み重なって現代史を立ち上げた作品は見る者を圧倒する」と述べた。
石川さんは現在、自衛隊基地の配備で変容する石垣、与那国へ通い続ける。各島の戦争へ発展しかねない危機を目前にして「沖縄のマスコミも声がちっちゃい。さわがしなさいよ。もっと」と厳しく要望する。受賞を機にあらためて「生きている間にどのぐらい撮れるか。お迎えに来る人との勝負だからさ。いっぱい撮らないといけない。映像は楽しいよ」と語り、引き続き入魂の作品づくりにいそしむ決意を述べた。 (斎藤学)