写真家の石川真生さんが文科大臣賞 23年度芸術選奨  「沖縄」撮り続ける 都内の大規模個展、「大琉球写真絵巻」など高く評価


写真家の石川真生さんが文科大臣賞 23年度芸術選奨  「沖縄」撮り続ける 都内の大規模個展、「大琉球写真絵巻」など高く評価 石川真生さん
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 文化庁は28日、芸術の各分野で業績を挙げた個人に贈る「2023年度芸術選奨」の受賞者23人と1組を発表した。沖縄からは写真家の石川真生さん(70)が美術部門の文部科学大臣賞に選ばれた。23年10~12月に東京都内で開かれた大規模個展「石川真生 私に何ができるか」が高く評価された。沖縄出身者で写真家の受賞は初めて。

 文部科学大臣賞は他に、俳優の佐藤浩市さん(63)や人気漫画「SLAM DUNK」を手掛ける漫画家の井上雄彦さん(57)らが選出された。

 石川さんは1970年代から半世紀にわたり、土地と生そのものを沖縄で生きる人間として撮り続けてきた。人々の生きざまを圧倒的な写真の力で伝える作品群は、国内のみならず国際的にも高い評価を受けている。

 昨年都内で初開催された大規模個展は、初期の代表作から最新作までを一堂に展示した。

 授賞理由は、石川さんが14年から取り組んでいる、琉球国時代から現代までの歴史を紡ぎながら、住民たちと作り上げる創作写真シリーズ「大琉球写真絵巻」にも言及。「闘病の中にあっても写真家として『私に何ができるか』を実践し続けている」と評した。

 琉球新報の取材に応じた石川さんは「これまで政府の批判もたくさんしてきたため受賞に驚いたが、芸術や文化に政治は関係ないんだと感じた。これからも命ある限り沖縄を撮り続け、沖縄の歴史や現状を世界に発信していきたい」と述べた。

 贈呈式は3月12日に、都内のホテルで行われる。

 2022年度は、舞踊部門の文部科学大臣賞に琉球舞踊重踊流二世宗家の志田真木さんが、21年度は美術部門の新人賞に那覇市出身の映像作家・美術家の山城知佳子さんが選ばれている。(当銘千絵)


〈ヘリ基地建設に揺れるシマ〉より。旧暦3月3日、地域住民に基地を開放=名護市キャンプ・シュワブ、2002年4月(石川真生さん提供)