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“離婚後も配偶者と関わり”に懸念 共同親権、廃止のネット署名21万人 虐待やDV被害者の安全脅かす


“離婚後も配偶者と関わり”に懸念 共同親権、廃止のネット署名21万人 虐待やDV被害者の安全脅かす
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 離婚後の共同親権を導入する民法改正法案が、16日にも衆院本会議で可決され参院に送付される見通しだ。成立すれば26年までに施行される。子どもに関する重要事項に双方の合意が必要となるため、離婚後も元配偶者と関わり続けることになることから、虐待やドメスティックバイオレンス(DV)の被害者の安全を脅かすとの反対意見も根強い。法案廃止を求めるオンライン署名は15日午後6時現在、21万人を超えており、県内でも懸念の声が上がっている。

 県が3月に発表した23年度ひとり親世帯実態調査によると、ひとり親になる前に「元配偶者からの暴言・暴力」を受けたと答えた母子世帯は32.2%。「主な稼ぎ手が生活費を入れない」との回答は24.5%で、いずれも父子世帯より20ポイント以上高かった。

 ひとり親世帯の支援に取り組むしんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄(秋吉晴子代表)が22年に実施したアンケートでは、共同親権について「選択したくない」と答えた人が71%に上った。理由として「会うと婚姻時代を思い出してつらくなり生活に支障が出る」「離婚理由がDVなので居場所や学校、行動を知られるのは怖い」などがあった。

 秋吉代表は回答者の8割がDV被害を受けていたとし「懸念する声はたくさん届いているが、怖くて声を上げられないのが実情だ」と話した。

 改正案では、共同親権の場合も「急迫の事情」があれば父母どちらかで重要事項を決められると定めたが、DV被害者の子連れ別居が含まれるのか疑問の声も上がった。衆院法務委は「急迫」の具体的な類型を指針などで示すことを求めた付帯決議も可決した。

(慶田城七瀬)